【健康診断】40代以上なら絶対受けたい検査5つ 眼底検査で全身病がわかる意外なメリットも

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特定健診のなかには、がんの早期発見や予防につながるものもあります(写真:siro46/PIXTA)
40〜74歳のすべての国民を対象に行われる特定健診。40代以上なら受けておきたい検査項目は5つがある。例えば、肝機能検査や眼底検査などだ。
そこで今回は、肝機能検査と、追加で受けたほうがよい4つの検査について、近畿大学医学部公衆衛生学教室主任教授の今野弘規(いまの・ひろのり)さんに聞いた。
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がん早期発見や予防につながる例も

特定健診は基本的にはメタボリックシンドローム(以下、メタボ)や生活習慣病の早期発見を目的としているが、検査結果ががんの早期発見や予防につながる場合もあるので、知っておきたい。

①肝機能検査

代表的なものが肝機能検査だ。「γ-GT(γ-GTP)」「ALT(GPT)」「AST(GOT)」の3つを測定するが、今野さんはこのうちALTとASTに注目する。いずれも肝臓の細胞に多く含まれている酵素で、肝臓の細胞が壊れると、血液中に漏れ出てくるため、数値が高くなる。

「メタボに直接関連するのはALTで、基準範囲は30U/l以下。ALTはコレステロールや血糖と異なり、明確な基準が定められていませんが、この値だけが高い場合は、脂肪肝の可能性があります。脂肪肝であれば、生活習慣の改善により、数値は下がってきます」(今野さん)

脂肪肝というと飲酒によって生じるイメージがあるが、最近はお酒を飲まない人の脂肪肝「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」が増えている。NASHはすでに肝炎を起こしている状態で、治療をせずに放置すると20~30%が肝硬変や肝がんに進行するといわれている。

ALTに加えてASTの値も高い場合は、肝炎の疑いがある。日本人の場合、肝炎の多くは肝炎ウイルスが原因。B型ウイルスやC型ウイルスによるものが多く、治療をしないでいると進行し、肝硬変を経て肝がんになる。

「特定健診では、肝炎ウイルスの検査は行いません。人間ドックなどで詳しい検査を受ける予定がない人は、この検査がウイルス性肝炎の疑いを見つける唯一のものになります」(今野さん)

B型慢性肝炎やC型慢性肝炎には抗ウイルス薬による治療が有効。ウイルス性肝炎が治れば、肝硬変や肝がんを予防できる。

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