「生きづらさを感じた心をラクにする」3つの対策 私たちが唯一コントロールできる「今」を大切に

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生きづらさを感じたときにどうすればいいか――。住職の教えを紹介します(写真:Aurinko/PIXTA)
時間に追われ、数字に追われ、誰かからの評価に追われる昨今、「今この瞬間」に意識が向かない人が増えてきました。すでに過ぎたことをいつまでも引きずり、まだ起こってもいないことに不安を抱く――。そんなふうに毎日を過ごしていませんか?
禅では「今を生きること」を説いています。
今を生きるとは、今できること、やるべきことにフォーカスし全力を注ぐことです。過去も未来も自分ではどうすることもできませんが、「今この瞬間」だけはコントロールできます。
兵庫県明石市にある禅寺、雲晴寺の住職を務める五十川幸導氏の新刊『今を生きる練習』では、生きづらさを手放し人生を穏やかに生きるヒントとなる話を42話収録。本稿では、同書を抜粋しお届けします。

「あのときもっとこうしていれば」「あんなこと言わなきゃよかった」「明日のプレゼンで失敗したらどうしよう……」

過去を振り返って後悔したり、未来を不安に思ったりすることは、誰にでもあります。ただ、いくら悔やんでも過ぎてしまったことは変えられませんし、まだ現実に起こっていないことを心配しても仕方がありません。

過去と未来は心が生み出した幻想

禅の言葉に「莫妄想(まくもうぞう)」というものがあります。妄想すること莫(なか)れ、という意味です。

禅における「妄想」とは、「自分の考えや思い込みにとらわれてしまっている状態」のこと。はじめは小さな思い込みでも、放っておくとウイルスのようにどんどん広がって、いつしか取り返しのつかないことになってしまいます。

これは、樹海の森とよく似ています。樹海に入っても、入り口であればまだ引き返すことができます。「危ない危ない、戻らなければ」と正気になれば、こちらの世界へ引き返してくることが可能でしょう。しかし妄想の森に迷い込んでしまうとなかなか抜け出せなくなって、あなた自身をどんどん蝕んでしまいます。ときには妄想が人の命まで奪ってしまうことさえあります。

まだ起きていないこと、現実になっていないことを心配し、自分で不安を大きくして悩んでいることはありませんか? 自分が考える心配事は、自分自身で作りだしているもの。意外と思い込みである可能性も高いです。

「妄想」にとらわれない。そのために私たちは過去でも未来でもなく、「今を生きること」が大切なのです。

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