イタリア人が並んで食べる「ジェラート」の真実 おいしいジェラテリアでは「中が見えない」

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8月のトリノ、人気のジェラテリアの一つ「マーレ・デイ・ボスキ」。 バカンス時期で街には人気がないのにもかかわらず、行列ができていた。通常の時期なら、この何倍もの人が並ぶ(筆者撮影)
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イタリア人は並ぶのが嫌いだ。銀行や郵便局などでは仕方なく並ぶけれど、レストランなど食べ物関係で並んでいるのは外国人観光客ばかりで、イタリア人が並んでいる姿は、絶対と言っていいほど見かけない。日本人だって並ぶの大好き、という人はあまりいないと思うが、イタリア人たちは「お腹が空いているときに並ぶなんて、耐えられない」と呆れたような顔をして肩をすくめる。

食べ物に関して保守的なイタリア人

だから新しい店や、外国から新しい食べ物が入ってきても行列はできないし、食べ物のブームも起きにくい。日本でちょっと前に大ブームになっていたマリトッツォも、本場ローマの人以外は「なにそれ?」と言ってその存在さえ知らない。私の住むトリノあたりの人に至っては「生クリームを挟んだただのパンでしょ? 生クリームだったらアルプスの麓のトリノのほうがおいしいに決まってるわよねー」などという。それから日本ではもう当たり前のように売られているマカロンも、ずっと遅れて専門店がちらほら登場したが、ブームというほどの人気は出ないまま萎んでいった。本場フランスはすぐお隣なのにもかかわらずだ。

そんな具合に、イタリア人はとても保守的なのだ。特に食べ物に関して。

基本的にイタリア料理が、もっと言えばマンマの料理が世界一おいしいと思っているから、1年のうちの345日ぐらいはトマト味のパスタを食べているんじゃないかと思うほどだ。よく飽きないね、と私は呆れてしまうのだが、彼らにとってはそれが普通。日本では和食に中華にイタリアン、エスニックなど毎食違うものを食べるんだよ、というと「なんで? 日本料理好きじゃないの?」とびっくりした顔をする。もちろん旅行好き、新し物好きのイタリア人も一部存在して、そういう人たちは数少ない外国料理のレストランで、SUSHIやらエスニック料理やらを楽しんでいる。

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