ザッカーバーグでも話題「メタバース建築」の課題 日本人は身長120センチ前後のアバターを好む

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そんなメタバース界隈で、最近1つのムーブメントが起きている。メタバース内の建物や街並み、イベント会場の設計・建築や、現実にある建物を再現する企業が増えているのだ。

サイバーエージェントは建築家・デザイナーの隈研吾氏を顧問とするMetaverse Architecture Lab(メタバースアーキテクチャラボ)を設立。3Dデジタルアーカイブプロジェクトは、昭和時代から銀座のランドマークといえた中銀カプセルタワービル(現在解体中)をメタバース内に再現。他にも仮想住宅展示場を開設した建築会社や、メタバース時代の都市設計をテーマとしたカンファレンスが開催されている。

バーチャル空間内に再現された中銀カプセルタワービル(藤原龍さん制作)。ソーシャルVRサービスのVRChat/clusterから入ることができる(筆者撮影)

建材の不足や高騰も関係ない

建築デザイナーは3D CGを用いて、建築物の外観や内観をさまざまな方角から見て確認できる建築パースを制作する。建売住宅やマンションなど一般販売される建築物は、3D CGの建築パースをチラシに掲載するなど宣伝目的で使うこともあり、美しい見た目はそのまま建物という商品の訴求力となる。また一部のメタバースは3D CGソフトとUnityなどのゲーム制作ツールを用いて仮想空間を作り上げるが、ゲーム制作ツールの知識を持てば、建築デザイナーはすぐにでもメタバース建築を手掛けられるようになる。なかには特定のメタバース向けのデータが作りやすい、建築設計用の3D CGソフトもある。

建築のプロフェッショナルが関わっているからこそ、メタバース内でも完成度の高い建物や、街並みが設計できる。しかも重力や建材の強度など物理法則に囚われる現実世界と異なり、自分が想像した理想の形状や機能性をもった建物を仮想空間内に構築することが可能だ。建材の不足や高騰も関係ない。デジタルの技術力次第で、ザハ・ハディド氏が考案した新国立競技場を超える規模・デザインの建築物が作れる。

しかし実際のところ、現実世界における建築のプロフェッショナルが作ったメタバース建築は、美しいけれども居心地がいいと思える空間になるのか、という疑問がある。

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