NHK「ネット受信料は妥当か」議論で起きている事 自民党と旧統一教会の関係を報道しない事情

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NHKのインターネット業務について、提言案がまとめられた(写真:ニングル/PIXTA)

NHKについて、気になる動きがある。8月24日に、自民党の情報通信連絡調査会という議員連が新たな提言を総務省に提出した。その提言とは「NHKのインターネット業務を本来業務とすべきかどうか、検討すべし」というものだ。

この議員連が提言を出すと、それに沿って総務省が有識者会議を開く流れができている。提言に沿った議論がこの秋、総務省の音頭で始まるのだ。

「本来業務」というのも謎の言葉だ。現在、NHKにとってネットは「補完業務」とされている。その違いは何か? 簡単に言うと、補完業務にはあまり力を入れるなよ、ということだ。具体的には、「NHKインターネット活用業務実施基準」という文書で示されている。金額も記されていて、今年度では年額200億円が上限とある。

受信料をインターネットに使うのは筋違い?

NHKの収入源はほとんどが受信料だが、あくまで放送を前提とした料金なので、インターネット業務に使う費用を積極的に使うのは筋違いということだ。

ただ今どき、放送だけでは国民全体に情報が行き渡らない。だからNHKプラスで同時配信をスタートさせたが、もっと予算もかけてネットでの情報発信に力を入れることが、公共メディアとしての役割と言える。ネット業務を補完ではなく本来業務とし、さらに充実させていくのは自然な流れだろう。

だがそこには、どこか矛盾が出てくる。受信料の徴収率は8割程度。さらに予算もかけて充実させたNHKのネット情報を、受信料を払わない2割の人々が無料で利用するのは不公平になってしまう。これまでのように補完業務で受信料収入約7000億円のうち上限200億円なら大した問題にはならなかったのが、本来業務になり予算をもっと使うとなると、受信料を払っている人々から不満が出てくるかもしれない。

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