「ゲーム・オブ・スローンズ」新作に待ち構える試練 「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」の配信に紆余曲折

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ミリー・オールコックが演じるレイニラ・ターガリエン(左)とエミリー・キャリーが演じるアリセント・ハイタワー(右)(2022 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO and all related programs are the property of Home Box Office, Inc.)

全世界を沸かせた最終回の放映から3年、『ゲーム・オブ・スローンズ』が戻ってきた(国内配信は8月22日より)。初回はケーブルと配信合計で1000万人が視聴、これ以上ないスタートを切った。

新シリーズのタイトルは、『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』。オリジナルの200年前を舞台に、ターガリエン一族内の衝突を描くものだ。物語は、本来ならば王位を継承できるはずだったレイニス・ヴェラリオン(イブ・ベスト)が、単に女性という理由で、ふさわしい資質を持たない従兄弟ヴィセーリス・ターガリエン(パディ・コンシダイン)に地位を奪われてしまうところからスタート。オリジナルは、高い評価を得る一方で、女性蔑視との批判も聞かれたが、このシリーズは逆に正面からそのテーマに挑もうとする。

最初の案は撮影後にボツになった

だが、このストーリーに決まるまでの道のりは長かった。HBOがスピンオフの企画が進行していると発表したのは、オリジナルが最後から2番目のシーズンに入ろうとしていた時のこと。その段階ではいくつもの違ったアイデアがあり、その中からオリジナルの1000年前を舞台にした話が選ばれて、第1話が製作された。その作品にはナオミ・ワッツが出ていたのだが、完成したものを見たHBOのトップは、「これではない」と感じ、ボツにしてしまったのである。

新作ドラマの場合、とりあえず第1話を作らせ、それを見て製作するかしないかを判断するのは、アメリカのテレビ業界において伝統的なやり方だ。しかし、『ゲーム・オブ・スローンズ』とそのスピンオフとなる作品には、民放の30分のシットコムとは桁違いの製作費がかけられている。この第1話にも3000万ドル(41億円)が投じられたというが、その大金は完全に無駄になってしまった。

しかし、HBOの歴史で最も高い人気を得た『ゲーム・オブ・スローンズ』の新シリーズを、熱が冷めすぎてしまわないうちに作りたいという気持ちは変わらない。そこで採用されたのが、原作者ジョージ・R・R・マーティン自身が推していた、ターガリエン一族に焦点を当てる話だった。

次ページ第1シーズン後も予定
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