「屋外で走る」が現代人のストレス解消になる理由 ジャンプ運動で「幸せホルモン」が活性化される

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季節や風の気持ちよさが感じられる屋外のランニング。脳内でもさまざまな「よい」変化が起こっているようです(写真:buritora/PIXTA)
足を蹴り上げ、腕を大きく振る――。この「走る」というシンプルな動作に隠されている心とのさまざまな繋がりを、プロランニングコーチの金哲彦さんが紐解いていく本連載。第1回は、ランニングブームの背景にある「なぜ走ると楽しくて、気持ちいいのか」に迫ります。

いっときメディアで話題になったいわゆる「ランニングブーム」は、2007年に始まった「東京マラソン」がきっかけだといわれています。

首都東京のど真ん中を世界のトップアスリートから3万人を超える市民ランナーが走り抜ける。見たことのない圧倒的な光景に多くの人が影響を受け、フルマラソン42.195キロ完走を目標に走りだす「ランニングブーム」が起きました。

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そして、2020年から始まったコロナ禍においても、「東京マラソン」とは違った形の「ランニングブーム」が起きています。

きっかけは、パンデミックで緊急事態宣言を発出を提言した新型コロナウイルス感染症対策分科会有識者会議のトップである尾身茂会長の発言でした。尾身会長がテレビで発した「自粛中でも屋外での散歩やジョギングはしてもいい」というお墨付きに勇気づけられた人たちはすぐに行動しました。

「運動なら外に出てもいい」ことを知った自粛疲れの人々が、運動不足解消のためこぞって屋外に出て歩いたり走ったりするようになったのです。

多くの人が屋外での運動に目覚めた

2007年と2020年のランニングブームはまったく違う性格の社会現象です。しかし、職場や家に閉じこもっていた不健康な人たちが屋外での運動に目覚めたという意味では共通の現象です。

いま「走る」ことは社会に根付いているでしょうか。確かに全国各地のありふれた日常のなかで「走る人」の姿は当たり前になっています。しかし、走ることが「好きだ」という人はいまだに少数派です。まだまだ「走ることは嫌いだ」とか「苦手だ」と思っている人が多数派でしょう。

ランニングにネガティブな印象をもつ人たちは、走ること=ただつらいだけだと思い込んでいるのだと思います。

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