介護離職で心が不安定に…50代女性が復職した訳 仕事を親の介護のために辞めてはいけない理由

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訪問診療の様子(写真:筆者撮影)
コロナ禍で病院での面会が制限されていることなどを背景に、需要の高まりを見せている在宅ケア。家での療養生活を支えるのが、患者宅を訪問して診療を行う在宅医などだ。
これまで1000人を超える患者を在宅で看取り、「最期まで自宅で過ごしたい」という患者の希望を叶えてきた中村明澄医師(向日葵クリニック院長)が、若い人たちにも知ってもらいたい“在宅ケアのいま”を伝える本シリーズ。
5回目のテーマは、現役世代が悩む「仕事と介護の両立」について。働きながらの介護を無理なく両立させるには、どんなことが必要なのか。使える制度や介護保険サービスも含めて解説する。

幼稚園教諭として長年仕事を続けているAさん(50代、女性)。

認知症の母親(90代、要介護4)と2人暮らしで、介護保険サービスを活用しながら、仕事と介護を両立させています。私は母親の在宅医療の担当医として訪問診療を続けるなかで、介護と仕事の両立に奮闘するAさんの様子を見てきました。

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介護保険は40歳以上が全員加入して介護保険料を納め、介護が必要になったときに所定の介護サービスが受けられる制度です。

65歳以上は「第1号被保険者」、40~64歳は「第2号被保険者」となり、第1号被保険者は、要介護状態になった原因を問わず、1~3割の自己負担で介護保険のサービスを受けられます。第2号被保険者は、16の特定の病気によって要介護状態になった場合に限り、介護保険のサービスを受けることができます。

介護保健サービスのしくみ

介護保険サービスには、自宅で利用する訪問介護や訪問看護、日帰りで施設を利用するデイサービスやデイケア、短期間施設に宿泊するショートステイや入居型の特別養護老人ホームなど、さまざまな種類があります。

このうちAさんの母親が主に利用しているのが、デイサービス(通所介護サービス)です。デイサービスの施設には介護職員らが常駐しており、入浴や食事、排泄など介助をしてくれるほか、レクリエーションを楽しむこともできます。母親はAさんが仕事に出かけている間、朝9時から夕方5時までデイサービスで過ごしていました。

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