お葬式の「生花祭壇」づくりの知られざる世界 この世界に入り11年の彼女が語る「やりがい」

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大学卒業後に生花祭壇作りの世界へ入った古屋さん。初めは葬儀の仕事に抵抗があったといいます(写真:ユー花園)
故人の遺影や棺を囲むように彩られる生花。葬儀サービスの専門職のひとつに、生花祭壇の製作がある。
大学卒業後に生花祭壇作りの世界へ入ったユー花園の古屋侑希主任(33歳)は、初めは葬儀の仕事に抵抗があり、「友人に仕事内容を話すことができなかったり、ご遺体を見たりするのが怖かった」と言う。だが、今はやりがいがあり充実した日々を過ごし、プロとして研鑽に励んでいる。古屋さんにこの仕事に就いたきっかけ、やりがいを聞いた。

70社受けた就職活動

葬儀の祭壇はもともと木作りであったが、時代の変化とともに故人の個性を表す傾向が強まり、宗教性のない、生花で飾る祭壇が登場。現在では生花祭壇が主流となっている。生花祭壇製作は、花に関する知識、製作の技術力や経験などにより出来映えに差が出ることから、専門職となっている。葬儀社の多くは、生花卸、生花店などの専門業者に製作を委託している。

専門業者の1つ、生花卸大手のユー花園は、「花の総合サービス企業」として生花祭壇装飾事業のほか、フラワーショップ事業、ウェディング装花事業などを行っている。

古屋さんは大学卒業後の2011年4月に同社に入社し、生花祭壇装飾に11年間携わってきた。大学では社会学部心理学科を専攻し、花とはまったく関係がない学部・学科だった。2011年頃は、2008年に起きたリーマンショックの影響などから就職氷河期となり、「100社くらい受けないと仕事に就けない」と言われた時期だった。

さまざまな業種約70社にエントリーしたが、「お花に関われたらいいなという気持ち」があったことから、花関連の会社へのエントリー数が比較的多かったという。

そうした大変な就職活動を余儀なくされた中、ユー花園への就職が内定。古屋さんが入社を決めた理由の1つは、同社がフラワーショップ事業や生花祭壇装飾事業など花に関して総合的に事業を展開しており、「花に関するいろいろな知識、技術が身に付けられると思った」こと。

もう1つは、古屋さんには「手に職をつけて一生働けるようにしたい」という希望があり、ユー花園の募集内容の「花で技術職」ということが希望を満たすものであったからだ。

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