中国でブランド人気を決める「プロ消費者」の存在 メディアからの情報を多用する日本との違い

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中国では「テレビCM効果」が効かないといいます。そのワケは?(写真:rainmaker/PIXTA)
日本の市場は成熟し、インフレやコロナが追い討ちをかけるなか、海外にビジネスチャンスを求める人は少なくありません。こうして商品やサービスを海外展開しても、日本のような成功への道は描けないことが大半です。そのなかで大切になるのは、海外の知覚に合わせて商品やサービスを調整していく「ブランドカルチャライズ®︎」というマーケティングプロセスです。
著者の久保山浩気氏、川崎訓氏は、海外マーケティングのカギは「消費者の知覚理解にある」と主張します。この記事では2人の初の著書『ブランドカルチャライズ―あなたの商品を海外に届けるマーケティングの技法』から、海外マーケティングを成功させるためのヒントを、3回にわたってご紹介します(今回は3回目、1回目はこちら、2回目はこちら)。

日本の商品やサービスをいかに海外のターゲットに向けてアプローチするか。それを定めるには「コミュニケーション戦略」を考える必要があります。ここで言うコミュニケーション戦略とは、ターゲットとする消費者に対して、製品やサービスの「どんな情報を」「どんな手段で」伝えていくのかを定めたものです。

ターゲットへのコミュニケーションは重要

私たちは、体系的に2つの戦略に分けて整理しています。

1つ目は「メッセージ戦略」、2つ目は「メディア戦略」です。

まずメッセージ戦略とは「どんな情報を伝えるか」、つまり、消費者の知覚にどう訴えるかを考えていくことです。

ブランドが伝えていくべき価値は定まっているとしても、実際にプロモーションや広告宣伝を行う場合には、伝える時間やボリューム、もしくは広告法など、多くの制限を考慮する必要があります。

多くの制限があるなかで、何を優先的に伝えて、どんな表現を使うと効果的に伝わるのかを定めることが、メッセージ戦略の役割です。

2つ目のメディア戦略とは、「どんな手段で伝えるか」を考えていくことです。メディア戦略というと、お金をかけて大々的にテレビCMを作ったり、新聞広告を出したりするのをイメージするかもしれません。

こういった大規模なものもメディア戦略の一部ではありますが、ほかにも店舗のPOPや、SNSでの投稿など、どんなチャネルを使って伝えていくと、ターゲットに効果的にアプローチできるかを定めることがメディア戦略の役割です。

これら2つの戦略は、日本では当たり前のように考慮されている基本動作です。同様に海外でマーケティングを行う際にももちろん必須ですし、加えて進出先の市場に合わせたカルチャライズが必要になります。

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