織田信長「実は保守的」カリスマ像が揺らぐ事情 長篠の戦いで「鉄砲三段撃ち」はなかった?

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従来のイメージがくつがえされている織田信長(写真:GRANGER.COM/アフロ)
近年研究が進み目覚ましく変わる日本史の記述。革新的なアイデアと戦術で天下統一に野心を燃やした戦国きってのヒーロー・織田信長も、これまでのイメージとは異なる姿が最新の研究から浮かび上がってきました。今回は歴史好き芸人・房野史典氏とNHK歴史探偵でおなじみ河合敦氏の共著『面白すぎる! 日本史の授業』より、教科書では教えてもらえない信長の意外な側面を紹介します。

多くの人が抱いている信長のイメージを端的に申し上げるなら、「古い体制にツバを吐き、革新的なアイデアと戦術で天下統一に野心を燃やした、戦国時代の風雲児」といったところでしょうか。

伝統や慣習を歯牙にもかけず、たとえ相手が幕府や神社仏閣であろうと、合理性がなければぶっつぶす。その論理は家臣の起用にも反映され、身分の低い者でも実力があれば重職に登用したが、仕事ができなければ勤続年数の長さにかかわらずクビを切った。

しかし、並み居る強敵をなぎ倒した圧倒的な力は実に魅力的で、「好きな歴史上の人物」といったアンケートでは必ずと言っていいほど上位にランクインする、鉄炮つかんだらマジでナンバーワン東海代表トップランカーだ、というのが僕らのイメージする織田信長だったんですが……。

近年の信長評は一変しております。革新的や破壊者といった原液が薄められ、これがカルピスならもはや白濁したただの水、と言うように、信長を信長たらしめた特色がことごとく〝なかった〞ものになっているんです。

既存勢力との協調路線を目指したのが信長だった⁉

ここ最近の信長の評価をこれまた端的にお伝えすると、「既存の勢力と協調しながら、国内に秩序と平和をもたらそうとした保守的な大名」といった感じ。この変わり様はもう脱皮のレベルです。

既存の勢力と協調。これはつまり、信長は幕府や朝廷と力を合わせていたし、尊重もしていたということなのですが、歴史が好きな方からすれば、「いやいや、足利義昭を京都から追い出してるじゃん。室町幕府を滅ぼしてるじゃん」となるところ。

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