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日本は誰に「盗まれた」のか、金融マンが見た平成 「派手な接待」も「週末の社員旅行」も今や過去

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失われた時、盗まれた国 ある金融マンを通して見た〈平成30年戦争〉(増田幸弘 著/作品社/2640円/272ページ)
[著者プロフィル] 増田幸弘(ますだ・ゆきひろ)/フリーランスの記者、編集者。1963年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。スロヴァキア在住。主な著作に『プラハのシュタイナー学校』『棄国ノススメ』『黒いチェコ』『不自由な自由 自由な不自由』。共編訳書に『独裁者のブーツ』。

いい学校に行って、いい会社に入れば、いい暮らしができる──。そんなことを素直に信じられる時代があった。

本書はそんな昭和の時代に生まれ育ち、都市銀行に入った1人の金融マンが、思うところあって為替ブローカーに転じ、バブル崩壊と情報化の波に翻弄されながら、新たな展開を求めて香港に移り住むまでの軌跡を描いている。

実在の金融マンが語る“日本金融史”

この物語の主人公は笹子善充。外為どっとコムの事実上の創業者だ。東京の近郊、埼玉県所沢市の団地に育った笹子は、地元の国立大学を卒業して都市銀行に就職する。期待を胸に入行した笹子を待ち受けていたのは、前例を踏襲し、年功を重んじ、変化を好まない、保守的な銀行の慣行と姿勢であった。

顧客のためにならないと思っても、ノルマをこなすために銀行の関連会社のクレジットカードの申し込みを勧めたり、リスクのある金融商品を売り込んだりする毎日に疑問を抱いた笹子は銀行を辞め、為替ブローカーに転じる。

だが、仕事が軌道に乗りかけた頃、バブルがはじけ、金融業界は冬の時代を迎えた。

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