中国EV大手「BYD」、販売好調で1~6月期は大増益 平均月販が10万台を突破し、利幅が顕著に改善

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BYDはすでにエンジン車の生産を停止し、「新エネルギー車」に集中する戦略をとっている(写真は同社ウェブサイトより)

中国のEV(電気自動車)大手の比亜迪(BYD)は7月14日、2022年1~6月期の純利益が28億~36億元(約569億8476万~732億6612万円)になるとの業績見通しを発表した。これは前年同期の純利益の1.4~2.1倍に相当する大幅な増益だ。

その要因についてBYDは、「新エネルギー車」の販売好調に伴って利幅が顕著に改善し、車載用電池の原材料価格高騰(による生産コスト上昇)の影響をかなり相殺できたと説明した。

(訳注:新エネルギー車は中国独自の定義で、EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)

BYDはこれに先立つ7月3日、1~6月期の新車販売台数が前年同期の2.6倍の64万6400台に達したと発表した。そのうち63万1400台を新エネルギー車が占めており、1カ月当たりの平均販売数が10万台を突破した。

バフェット氏の噂で株価が乱高下

同社はすでに2022年3月からエンジン車の生産を停止し、少数の在庫車のみの販売を継続している。1~6月のエンジン車の販売台数はわずか5000台と、前年同期の20分の1に縮小した。

新エネルギー車への急速なシフトに伴い、車載電池の搭載量も大幅に増えている。BYDが1~6月期に新エネルギー車および(再生可能エネルギー向けなどの)蓄電システムに組み込んだ電池は(容量ベースで)合計約34GWh(ギガワット時)に上り、前年同期の2.7倍に増加した。

本記事は「財新」の提供記事です

このように足元の業績は絶好調だが、上海証券取引所と香港証券取引所に上場しているBYDの株価は、このところ神経質な動きを見せている。7月12日には(アメリカの著名投資家の)ウォーレン・バフェット氏がBYD株の持ち高を減らしたとの噂が流れ、株価が急落。香港市場の株価は1日で約12%下落した。

しかし今回の業績見通しが発表されると、株価は反騰。香港市場での7月14日の終値は283香港ドル(約4937円)と、前日比5.5%高で引けた。

(財新記者:黄栄)
※原文の配信は7月14日

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