「缶の日本酒」で世界狙うベンチャー企業の正体 「客が自分で封を開けて飲める」というメリット

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全国のさまざまな日本酒を180mlの缶詰めにして消費者に届ける「ICHI-GO-CAN(一合缶)」。写真は「4種類飲み比べセット」税・箱代込み、送料別3080円(筆者撮影)
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夏にひときわおいしいアルコール飲料、ビール。今日のようにビールが浸透したのも、缶ビール発明のおかげと言っても過言ではないだろう。缶切りで開けるタイプの、缶詰ビールが発売されたのは1958年(アサヒグループホールディングスホームページより)。

缶は瓶に比べて軽量でかさばらないし、紫外線を通さないなど管理や配送するうえでの効率が高い。また冷蔵庫で手軽に冷やして晩酌に、レジャーのお供になど、消費者のニーズにも合致した。

国税庁のデータを見ると2019年はアルコールの課税移出量(販売量)のうちおよそ3割をビールと発泡酒が占めている。これに比べシェアが低いのが日本酒で、5%以下となっている。日本酒出荷量のピークは1973年頃で、年間177万キロリットルが出荷されていたが、2019年には46万キロリットルまで減少している。

純米酒や純米吟醸酒については増加傾向

ただ、内訳を見ると大幅に減少しているのは醸造アルコールを添加した「普通酒」。純米酒や純米吟醸酒については増加傾向にあり、高付加価値で価格帯も高い日本酒の需要が伸びているとみられる。

さらに日本酒の評価は国内よりむしろ海外で高まってきており、意欲的な酒造は海外へと進出を始めている。2020年は約241億円で前年比3.1%の伸び(国税庁)。2010年の85億円から11年間連続で伸び続けている。また海外に日本酒の蔵が増加中という状況だ。旭酒造のように日本の企業が海外で酒造りに挑戦するケースと、ニューヨークの「Brooklyn Kura」のように海外の企業が酒造りを行うケース、2通りがある。

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