中国「リチウム大手」が南米の大型資源を買収 贛鋒鋰業、アルゼンチンの権益に1300億円超

✎ 1〜 ✎ 977 ✎ 978 ✎ 979 ✎ 最新
拡大
縮小
贛鋒鋰業が世界各地に保有するリチウムの資源量は3000万トンを超える。写真は同社が権益を持つアルゼンチンのカウチャリ・オラロス塩湖(現地開発会社のウェブサイトより)

中国の民営リチウム大手の贛鋒鋰業(ガンフォンリチウム)は7月11日、南アメリカの大型リチウム資源を買収すると発表した。アルゼンチンのサルタ州にある2つのリチウム塩湖の開発権を持つ企業の株式を、9億6200万ドル(約1310億円)を投じて100%取得する。

贛鋒鋰業によれば、2つのリチウム塩湖はいずれもアルゼンチンのパストス・グランデス塩湖地区にあり、炭酸リチウム換算の資源量は合計1106万トンに上る。同社は開発プロジェクトの第1期で年間3万トン、将来的には同5万トンの炭酸リチウムを生産する計画だ。

「今回の投資決断は資源量の魅力が大きかった」。財新記者の取材に応じた贛鋒鋰業の関係者は、そう打ち明ける。買収する2つのリチウム塩湖の資源量はアルゼンチン第3位の規模を誇り、贛鋒鋰業が権益を持つリチウム資源開発プロジェクトのなかでも2番目の規模となる。

2030年に世界シェア20%目指す

贛鋒鋰業が保有する最大のリチウム権益は、同じくアルゼンチンのカウチャリ・オラロス塩湖だ。同社は2018年に6030万ドル(約82億円)を投じて開発権の37.5%を取得。その後も権益を買い増し、現在は46.67%を保有する。カウチャリ・オラロス塩湖の資源量は炭酸リチウム換算で2485万トンに達し、リチウム塩湖の開発プロジェクトとしては世界最大規模だ。

同社は2011年からいち早く海外リチウム資源の確保に乗り出し、保有する権益は炭酸リチウム換算で3000万トンを超える。中国企業が持つ資源量としては最大であり、その投資先はオーストラリア、アルゼンチン、メキシコ、アイルランド、アフリカのマリなど世界各地に広がっている。

本記事は「財新」の提供記事です

これらの権益を背景に、贛鋒鋰業はリチウム製品の生産拡大に邁進。2021年は約9万トンを生産し、世界3大メーカーの一角に浮上した。同社は2025年の生産能力を年間30万トン、2030年には同60万トンに拡大することで、グローバル市場の20%を握る目標を掲げている。

(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は7月12日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT