自動車業界の関係者を吸い寄せる「展示場」の内側 テスラ「モデルY」、中国の「50万円EV」を徹底分解

拡大
縮小
廃校となった中学校の体育館をそのまま使って、注目EVの分解部品を展開する(記者撮影)
この記事の画像を見る(10枚)

名古屋から中央線に揺られて約50分。JR釜戸駅(岐阜県瑞浪市)のほど近くに、自動車業界の関係者がひっきりなしに訪れる施設がある。

施設には自動車の部品がずらり並んでいる。視線を上に移すと、バスケットゴール。この施設は、3年前に廃校になった中学校の体育館をそのまま利用したものだ。

並べられるのは、電気自動車(EV)3車種の解体部品。日本では6月に受注が始まったアメリカ・テスラのミッドサイズSUV「モデルY」、1000万円を超える英ジャガー「I‑PACE」、そして「50万円EV」として話題になった上海GM五菱汽車の「宏光MINI EV」。いずれも注目車種ばかりだ。

ほとんど見ることのできないクルマを分解

展示場を運営するのは、中堅商社の三洋貿易(東証プライム上場)だ。同社は新規ビジネスとして2017年からアメリカのエンジニアリング会社、ケアソフト社の日本代理店を務めている。その一環として今年3月に展示場を開いた。

宏光MINI EVは日本でのナンバー取得がないなど、いずれの車種も日本ではまだ実車を見る機会がほとんどない。それもあって、「夏期休暇前までは連日予約で埋まっている状況」(三洋貿易産業資材第二事業部・光部亮人グループリーダー)。自動車メーカーだけでなく、部品メーカーや素材メーカーなどからも問い合わせが来るという。

ケアソフト社は、自動車を分解・調査する「ベンチマーキング」の会社だ。世界で2台しかない超大型のCTスキャンを使ってクルマを丸ごと解析。実際に実車を分解して得たデータも活用して、リアルな3DCADデータを作成する。その3DCADデータを自動車メーカーに提供するとともに、コスト削減などの提案まで行うビジネスモデルだ。

次ページモデルYは着実に進化
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT