参院選「議席増えた党首にも笑顔なし」の複雑事情 日本維新の会、れいわ新選組も重苦しいムード

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岸田文雄首相は開票中も厳しい表情が目立った(JMPA代表撮影)

戦いがすんで、夜が明けて……。7月10日に投開票が行われた参院選は予想を超える与党大勝で幕を閉じたが、開票を見守った岸田文雄首相をはじめ、各党党首や最高幹部の表情には厳しさばかりが目立った。

誰もが予想しなかった安倍晋三元首相の非業の死は、投開票のわずか2日前の8日。この大事件は日本の政治への国民的な不安と不信をもたらし、自民圧勝で「1強」となった岸田首相はもとより、議席倍増の日本維新の会代表・松井一郎大阪市長や、自ら大激戦の東京選挙区で勝ち抜き、目標の3議席を達成したれいわ新選組・山本太郎代表からも、笑顔を奪った。

安倍氏死去で重苦しい空気に包まれた参院選

事件を受けて、選挙活動をいったん中止した各党首らも、選挙戦最終日の9日は終日、予定どおり全国遊説で最後のお願いを連呼した。それだけをみれば、各党首らは国民の審判が下った後、それぞれの立場で一喜一憂するほうが自然だったはずだ。

にもかかわらず、安倍氏死去の言いようのない重苦しさが、各党首を打ちのめしたように見える。首相在任の最長記録を打ち立て、「1強」という尊称をほしいままにすることで、さまざまな毀誉褒貶を超えた「戦後最強の宰相」の突然死の衝撃。

だからこそ、敵味方なく振り回され続けた各党首や最高幹部の心に、「大きな穴がぽっかりと空き、言い知れぬ不安に身がすくんだ」(自民長老)のが実態とされる。

与野党の別なく、党首らは「安倍氏死去」には茫然自失の体だった。とくに「政敵だが政権を支える“政治的相棒”」を失った岸田首相の困惑と狼狽ぶりが、「安倍後」の政権運営の複雑かつ困難さも浮き彫りにした。

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