東洋医学の知恵で猛暑の夏を涼やかに過ごすワザ 汗のかき方と水分の摂り方が一番のポイント

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猛暑の夏の東洋医学的な過ごし方をお伝えします(写真:kuro3/PIXTA)

暑さで生じる食欲不振や下痢、だるさ、やる気が出ない、体がむくむ、めまい・立ちくらみ……。こうしたいわゆる“夏ばて”はなぜ起こり、漢方的にはどう対処していけばよいのでしょうか。

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漢方の古典『黄帝内経素問・四気調神大論篇(こうていだいけいそもん・しきちょうしんたいろん)』には、夏の過ごし方についてこう書かれています。「夏はすべてのものが繁茂し、勢いが盛んになる。万物は花咲き、実がみのる。自然界の一部である人もこのようにあるべき」。そして、具体的な行動として、以下のようなことを推奨しています。

・早寝早起き(夜更かしした翌日も朝は早く起き、太陽の陽気を取り入れる)
・日光をいとわず、おおいに太陽を取り入れる
・適度に汗をかくようにする
・怒らないようにする
・体と心を十分に解放する
・積極的に表に出て活動する

これに逆らう生活をしていると、“心”が乱れ、それに関連するさまざまな機能が変調をきたします。漢方でいう心とは臓器の心臓だけでなく、循環器系や血管系、メンタル系の機能を含みます。

“心”の乱れでキレやすくなっている

ここ数年は新型コロナの感染予防のため、夏のレジャーや帰省などを控えるなど、夏らしい過ごし方ができませんでした。そのせいか、キレたり、精神的に不安定になったりしている人が多いように見受けられます。コロナ禍の生活は、漢方からみても問題が多いのです。

実は、江戸時代にも熱中症や夏ばてがあったようで、当時の医書『牛山活薹(ぎゅうざんかっとう)』には、「暑邪の症(熱中症)には二つあり、動いて之を得るを中熱、あるいは中暍(ちゅうあつ)と名づく、静にして之を得るを中暑と言うなり、皆、熱火の病なり」と記載されています。中暍は熱中症、中暑は室内で起こる熱中症を意味します。

そして「外からは風を送り、食べ物や飲み物で体内を冷やし、内外ともに冷えるために、夏ばてが起こるのだ」と説明しています。

暑さを避けて過ごし、胃腸を健やかな状態にしていれば夏ばては起きません。では、そのためにどのようなことに気をつければよいのでしょう。具体的には、以下のような養生が大事だといえます。

・暑さを避ける
・正しい水分補給をする
・大汗をかかない
・冷たい飲食は控えめに
・衣服を工夫する
・寝不足や無理をしない
・体によい食材や漢方薬を活用する
・梅干しやみそ汁などで塩分を補給する
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