上野の「シャンシャン」初の引越しを追ってみた 都が22億かけて整備した「パンダのもり」に住む

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上野動物園の東園から初めて車に乗るシャンシャン。2022年7月4日。画像は動画からの切り出し(画像:公益財団法人東京動物園協会)

東京・上野動物園で生まれた雌のジャイアントパンダ、シャンシャン(香香)が7月4日に引っ越した。行き先は園内の「パンダのもり」。東京都が約22億円をかけて整備し、2020年9月にオープンした豪邸だ。

「パンダのもり」の敷地面積は約6800平方mで、ジャイアントパンダ舎、レッサーパンダ舎、鳥舎、トイレがある。ジャイアントパンダ舎には産室が2つあり、公道に近いほうの産室(図の産室1)にシャンシャンが入った。

「パンダのもり」の概略図。2022年7月5日現在、シャンシャンは「産室1」、シンシンと双子は「屋外放飼場B」「室内展示1号室」とその横の「寝室」、リーリーは「屋外放飼場C」「室内展示2、3号室」とその横の「寝室」を利用。2022年3月23日撮影(筆者撮影)

もう1つの産室では2021年6月23日、上野動物園で初めて双子パンダが誕生した。産室は公道に近いが、窓を二重サッシにするなどし、パンダが安心して出産・子育てできる環境を整えている(参照:『シャンシャンに弟妹?上野「新パンダ舎」の底力』)。

5頭のパンダが暮らす

上野動物園では一家5頭のパンダが暮らしている。シャンシャンが2017年6月12日に生まれてから2022年7月4日の引っ越しまでいたのは東園。「パンダのもり」は、そこから徒歩10分ほどの西園に位置する。

西園パンダ舎の部屋割りは現在、①シャンシャン、②シャンシャンの母のシンシン(真真)、弟妹(双子)のシャオシャオ(暁暁)とレイレイ(蕾蕾)、③シャンシャンの父のリーリー(力力)となっている。

この3組は、互いに顔を合わせることはないが、パンダは聴覚や嗅覚が比較的鋭いとされるため、もしかしたら音や匂いは分かるかもしれない。

シャンシャンにとっては、両親と弟妹の元への「里帰り」。なのに家族と顔を合わせないのは、かわいそうだと思われるかもしれないが、パンダは群れをつくらず単独で生きる動物。子育て中や交尾する時、幼い双子が一緒にいる時を除けば、動物園のパンダも普段は1頭ずつ区切られたエリアで暮らす。

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