同性愛者3人の共同生活、結婚は認められるべきか 同性婚と多重婚を遺伝子、社会的役割から考察

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日本では同性婚はまだ認められていない(写真:mikeko/PIXTA)
「性の多様性」「ジェンダーの平等」についての議論が進んでいる。それぞれに意見があるが、「大切なのは、必ずしも結論を出すことではなく正面から向き合って考えること」と言うのは、慶應義塾大学先端生命科学研究所の所長を20年以上務めてきた冨田勝教授だ。「AI」と「バイオサイエンス」の視点を軸に、さまざまなテーマについて考える冨田氏の人気講座をベースに、これからのジェンダー論について考えていく(※本稿は冨田氏の著書『みんなで考えるAIとバイオテクノロジーの未来社会』より、一部抜粋・編集してお届けします)。

 

登場人物

斎藤くん:都内の私立大に通う大学2年生。なんとなく就職に有利かと思って経営学部に入ったが、最近はまったく勉強に身が入らない。

冨田教授:慶應義塾大学教授。「将来ビジョン養成講座」という人気講座を持つ。

斎藤:ジェンダーについて、ちょっと過激な質問をさせてください。

・不倫は「悪」なのか?

・一夫一婦制は絶対的な制度なのか?

おしどりもパートナーを替える

冨田:おお。炎上しそうな話題ですね(笑)。 僕は不倫擁護派ではありませんが、ヒト以外では一夫一妻制を堅持している生物種って少ないです。「おしどり夫婦」という言葉のおしどりも仲良さそうにペアになっていますが、よくよく観察すると、一定の周期でパートナーを替えています。

斎藤:あ、そうなんですか。

冨田:また多くの動物では、メスを取り合ってオスが競争します。メスは妊娠するとしばらくは生殖活動ができません。つまり子どもを産み育てるのにとても時間とコストがかかります。なので、生存に有利な遺伝子を持った「質の良い」オスを慎重に選択することがメスにとって重要です。

一方、オスは生殖活動のコストが小さいので、なるべくたくさんのメスと交尾をして自分の遺伝子をたくさん残そうとします。つまり、メスは「量より質」、オスは「質より量」でパートナーを探すこととなります。

そうすると、自然界の「性選択」の多くは、一匹のメスが複数のオスの中からパートナーを選択する、ということになります。なので競争力のあるオスは、たくさんのメスに選ばれて、多くの子孫を残すことができるのです。

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