2022年の株主総会見どころ「株主提案77社リスト」 3月本決算企業に対し、提案数は過去最多に

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2022年、3月決算会社で株主提案を受けている企業は過去最多となる(編集部撮影)

上場企業のおよそ7割を占める3月本決算会社の定時株主総会が、いよいよ開催ラッシュを迎える。最大の集中日は6月29日で、3月本決算会社の約4分の1が総会を開催する。さらに、23、24、28日を含む4日間に全体の4分の3の株主総会が予定されている。

最大の注目点は株主提案を受けている会社や、会社提案に反対運動をされている会社の株主総会だ。3月本決算会社で株主提案を受けているのは77社で過去最多。反対運動を受けているのは少なくとも1社だ。

すでに戦いのゴングは鳴っている

6月総会の前哨戦はすでに始まっている。2つの臨時総会を含め、5月11日~6月16日までの間に開催された株主総会で株主提案があったのは5社。株主提案は全社で否決されたが、次につながったものもある。コンクリート2次製品メーカーのヤマウホールディングスに対する個人株主の提案がそれだ。

ヤマウホールディングスの第2位株主、運送会社経営の平松裕将氏は有田徹也社長の解任を求め、臨時株主総会の開催を請求した。持株会社化を問う2020年の臨時総会で、株主提案をする余地が事実上与えられず、平松氏の株主提案を取り上げなかったのは不当であり、そうした取り扱いをした有田社長は解任すべきだというものだった。

5月11日に行われたヤマウホールディングスの臨時総会で、平松氏の保有率は6.6%にすぎないのに、解任提案は21.0%もの賛成票を集めた。個人投資家を中心に支持を集め、平松氏の株主提案は人数ベースでは賛成が反対を上回っていた。

その平松氏は6月29日開催予定の定時株主総会に向けて1株61円への増配を提案していた。会社側が目標として掲げていた「配当性向30%」に沿った提案だった。会社側が5月11日に発表した配当は年65円配。最終利益が計画を上回ったために、65円配でも配当性向は26%にとどまる。そこで平松氏は「誤記訂正依頼請求書」を提出。配当性向が30%になるように74円配へ株主提案を修正した。

同24日に会社側と平松氏は2時間近い話し合いを持ち、「将来に向けた設備投資や従業員の福利厚生充実を図る」という会社側の説明に納得。株主提案を取り下げたが、株主提案が会社への圧力となり、大幅な増配を勝ち取ったといえそうだ。

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