「死ぬのが怖い」と思ったときに考えてみたいこと がん患う医師「死に対する恐れは人それぞれ」

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誰でも死は怖いと思います。今回は「死への恐れ」について考えていきます(写真:Ushico/PIXTA)
全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を2001年に開設、「夫源病」の名付け親としても知られる医師の石蔵文信さんは、64歳で前立腺がんが全身の骨に転移。現在も外来を行いながら、自身の治療を続けています。
延命治療や胃ろう、現役医師としての決断と、それをどう家族や周りに伝えるのか――。悔いのない最期のために、今から考えておきたいことをまとめた一冊『逝きかた上手』が発売、たちまち重版するなど話題を呼んでいます。現役医師が伝える終活の心得を、特別に一部公開いたします(3回にわたって紹介。今回は3回目。1回目はこちら、2回目はこちら)。

多くの方が「死」に対する恐怖感を持っていると思います。楽観的な私でも「死」に対する恐怖感はありますが、なんとなく「仕方がない」と思っています。「死」に対する恐れの理由は、人それぞれあると思います。

死に対する恐れの理由はいくつかある

まず大きいのは、親しい人たちとの別れでしょうか。

死んだ後に自分はどうなるのか、まったくわからないのも不安でしょう。それは誰もが一度も死んだことがなく、既に死んでしまった方が「死」に関して語ることができないからでしょう。

2020年に公開された『一度死んでみた』という映画のように、一度死んでも生き返れるような薬があればよいのですが、そんな都合の良い薬はできないでしょうね。

この「死んだらどうなるのか?」について、私の考えなどを書かせていただきます。

宗教の多くは、死んだ後の行き先を示してくれます。キリスト教徒やイスラム教徒なら天国、仏教徒なら浄土というように、「何となく次がある」ので安心感もあるのでしょう。死んだ後の世界を示してもらえれば、信仰心の厚い人は死後の恐怖心が少ないのかもしれません。

しかし、無宗教の方も少なくありません。そのため「死=無」になると考えてしまいがちです。

残念ながら私も死んだことがないので、死後の世界を語ることはできません。しかし、信仰心のない方でも行ける場所があります。それは「あの世」です。天国などではありませんが、「死ぬこと」=「この世からあの世に行く」と考えてみましょう。そう考えてみると、少し気が楽かもしれません。

次に、亡くなってしまった知人や友人を想像してみましょう。

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