降水確率30%でも大雨になることがある理由 傘を「持つ」「持たない」の境目を気象予報士が解説

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降水確率50%と80%で強く雨が降るのはどっち?(写真:bee/PIXTA)
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8月3日、東京は朝から晴れて、最高気温が36.1℃まで上がりました。ただ、午後は天気が急変。午後2時頃から東京都心に雨雲が発生し、さっきまで晴れていたのに急な雷雨となったのです。この日発表された午後の降水確率は20%でした。

みなさんは、降水確率が何%だったら傘を持っていきますか?

家を出かけるときに青空が広がっていて、降水確率も低いので傘を持たずに外に出たら、急に雨が降ってきたという経験はありませんか?

私たちにとって身近な降水確率とはそもそも何なのか、降水確率の生活への活かし方を解説します。

【降水確率50%とはどういう意味?】

降水確率というのは、書いて字の如く、「雨(または雪)が降る確率」です。

それでは、降水確率50%というのは、雨が降るか降らないか五分五分かというと、違います。

降水確率は、その予報を100回出したら1ミリ以上の雨が何回降るかという確率なのです。例えば、降水確率50%は、この予報を100回発表すると約50回は1ミリ以上の雨が降るということです。

「1ミリ以上の雨」というのがミソ

「1ミリ以上の雨」というのがミソで、霧雨のような雨は含まれないこともあります。

そのため、降水確率50%のとき、五分五分以上の可能性で雨は降ります。

【降水確率と雨の強さは関係ある?】

降水確率50%と80%では、雨が強く降るのはどちらでしょう?

降水確率が高いほうが強く降りそうな印象を持たれる方もいるかもしれませんが、降水確率と雨の強さや降水量は関係ありません。

先に述べたように、降水確率というのは、1ミリ以上の雨が降る確率なので、1ミリ以上であれば10ミリでも50ミリでも同じ扱いです。

降水確率が高いと、雨が強く降り、降水量が多くなるのかと連想してしまいがちです。

実際、私が講演会で「降水確率50%と80%では、雨の降り方はどうでしょう?」とクイズを出すと、悩んだり間違えたりする方が結構多いです。降水確率というのは私たちにとって身近な数字ですが、その定義や正しい理解は意外と浸透していない数字でもあります。

降水確率と雨の強さや降水量は関係ない、と覚えておきましょう。

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