ギドラからゴジラへ「危機管理庁」設置3つの目的 日本の危機管理オペレーションは変われるか

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岸田首相が創設を発表した「内閣府感染症危機管理庁」によって、日本の危機管理オペレーションはどう変わるのだろうか(写真:Kiyoshi Ota/Bloomberg)

岸田文雄首相は6月15日、これまでの2年半にわたる新型コロナ危機の反省を踏まえ、内閣官房に「内閣感染症危機管理庁(仮称)」新設を含めた感染症危機管理の対応策を発表し、17日の新型コロナウイルス感染症対策本部で正式に決定した。

この改革の方向性は、要するに、3つの「1」を作ることだ。
・1つの司令塔組織
・1つの技術的補佐機関
・1つの指揮命令系統
本稿ではそれぞれについて説明していく。

三元体制を一元化へ

1つの司令塔組織

岸田首相が創設を表明した「内閣感染症危機管理庁」の目的は、いわば三又の首を有するキングギドラを排し、最強のゴジラを作るということだ。

コロナ危機では、内閣官房コロナ対策推進室、厚生労働省、ワクチン担当と、リーダーシップが3つに分かれており、三元体制となっていた。このため、各種政策の決定と執行に支障をきたすこともあったという。

3つの首からそれぞれ1/3の力の火を吹いているよりは、1つにまとめてその力を統合したほうが、ゴジラのように強くなると同時に機動的に動けるようになる。3つに分かれていた機能を1つに統合し、国家全体として感染症危機管理の統合運用機能を高めていくというわけだ。

おりしも、防衛省が陸海空自衛隊の統合運用をさらに強化し、部隊運用の機動性を向上するために、「統合司令官」率いる「統合司令部」を創設する方針を決めたという報道が出たのも今月である。日本の安全保障・危機管理体制は、さまざまな脅威に対して統合運用ができる形に進化しようとしている。

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