香港「電子消費券」効果が小売業の回復を牽引 市民660万人対象に1人当たり約16万円を支給

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香港では新型コロナの第5波の流行が落ち着き、繁華街に活気が戻りつつある(写真はイメージ)

香港の個人消費に明るさが戻ってきた。香港政府の統計局が6月1日に発表したデータによれば、2022年4月の香港の小売業売上高は302億香港ドル(約4937億4282万円)と、前年同月比11.7%増加。新型コロナウイルスの第5波の流行が落ち着いたことに加えて、香港政府が市民に配布した「電子消費券」の効果が表れた格好だ。

直前の3月まで、香港の小売業売上高はコロナ第5波の影響で2カ月連続の落ち込みを記録していた。具体的には、3月は前年同月比13.8%減の238億香港ドル(約3891億858万円)、2月は同14.6%減の252億香港ドル(約4119億9732万円)だった。それに比べて4月は顕著に改善したが、新型コロナ発生以前の2019年4月との比較では約2割のマイナスとなっている。

コロナ第5波の香港経済への打撃を緩和するため、香港政府は2月23日、18歳以上の市民約660万人を対象に1人当たり1万香港ドル(約16万3491円)の電子消費券を配布すると発表。個人消費の直接刺激に打って出た。

「効果は下がり始めている」との指摘も

電子消費券は2回に分けて配布され、1回目の5000香港ドル(約8万1746円)は4月7日から配布が開始された。残る5000香港ドルの配布時期はまだ発表されていない(訳注:原文記事の配信後の6月13日、香港政府は2回目の電子消費券の配布を8月7日に開始すると発表した)。

「コロナ第5波が落ち着いてきたなかで、香港政府が1回目の電子消費券を配布したことが市民の消費意欲に働きかけ、4月の小売業の売り上げ回復を牽引した」。冒頭の統計局のデータ発表を受けて、小売業の業界団体である香港小売管理協会はそうコメントした。

本記事は「財新」の提供記事です

だが同時に、香港小売管理協会は「電子消費券の効果は徐々に下がり始めている」と先行きへの不安も表明した。同協会が会員企業を対象に実施した調査によれば、5月の商売が4月より悪化しているとの回答が全体の6割に上ったという。

(財新 駐香港記者:彭胡清鈺、周文敏)
※原文の配信は6月2日

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