中国、風力と太陽光の「発電量」を2025年に倍増へ 政府が「再生可能エネルギー発展計画」を策定

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中国は国家主導で再生可能エネルギーの導入を加速する。写真は国有電力大手の国家能源投資集団が建設した洋上風力発電所(同社ウェブサイトより)

中国で風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーが、急速な発展期を迎えようとしている。「二酸化炭素(CO2)の排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までにカーボンニュートラル実現を目指す」という、政府の国家目標が背景だ。

中国のマクロ経済政策を統括する国家発展改革委員会は6月1日、第14次5カ年計画(2021~2025年)における再生可能エネルギーの発展計画を策定し、エネルギー政策を所管する国家能源局など9省庁との連名で通達。そのなかで、(5カ年計画の期間中に)全国の電力消費量の増加分に占める再生可能エネルギーの比率を50%以上に高めることや、風力および太陽光による発電量を倍増させる目標を打ち出した。

今回の計画の特徴は、再生可能エネルギーの大規模導入、市場メカニズムの活用、(エネルギーとしての)品質向上などの方向性を明確にし、具体的な数値目標を掲げたことだ。例えば再生可能エネルギーの発電量については、2025年末時点の目標値を3兆3000億kWh(キロワット時)に定めた。これは第13次5カ年計画(2016~2020年)の終了時点の5割増しであり、2021年末との比較では残り4年間で33%増やす必要がある。

再エネの「消費側」にも数値目標

留意すべきなのは、上記の目標は発電設備の規模ではなく、実際に発電される量であることだ。それを実現するには、電力の供給側で再生可能エネルギーの発電設備を大幅に増やすと同時に、消費側でも再生可能エネルギー由来の電力をより多く利用しなければならない。

そこで供給側に関しては、これまでの風力発電と太陽光発電の主流だった(1カ所に大量の発電設備を設置する)集中方式に加えて、(小規模な発電設備を分散配置して制御する)分散方式を同時展開する方針だ。分散方式の候補地としては、工業団地や経済開発区、石油や天然ガスの鉱区、公共建築物や工場の屋上などが挙げられている。

本記事は「財新」の提供記事です

一方、消費側については、中国各地の電力消費量に占める再生可能エネルギー由来の電力の比率を2025年末までに33%前後に引き上げるよう、地元政府にノルマを課す。今回の計画の草案が2021年初めに公表されて以降、中国政府が再生可能エネルギーの消費に関する具体的な数値目標を示したのは、これが初めてだ。

(財新記者:陳雪婉)
※原文の配信は6月1日

財新 Biz&Tech

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