ハラスメント被害が軽視されがちな「根深い理由」 頼るべき専門家が見つからない、構造的な問題

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ハラスメント被害が軽視されがちなのは、相談すべき専門家を見つけにくい、構造的な問題もあるようだ(写真:大澤誠)
ブラック企業という言葉が定着して久しい日本社会。ネットで検索すれば「ブラック企業の見分け方」「ハラスメントへの対応の仕方」「過去の裁判事例」などを知ることができるが、しかし、一方で「ハラスメントを受けた人の、その後の人生」が詳しく語られることは少なかった。
「ハラスメントが原因でうつ病を発症した」「働くことが怖くなり、経済的に困窮した」「夢見た業界を離れたことに、後悔を募らせている」……そんな人は、決して少なくないだろう。"加害者から離れたから終わり"ではないのだ。
そこで本連載では、ハラスメント被害者のその後に注目。多くの当事者のライフストーリーを通じて、ハラスメントがいかに社会悪かを再検討しつつ、専門家へのインタビューを交えながら、被害者たちをケアする方法について考えていく。
2回目となる今回は前回に引き続き、パワハラ被害者の支援をおこなうNPO法人POSSE代表理事の今野晴貴氏に取材を敢行、ハラスメント被害者へのケアを巡る現状を聞いた。

労働災害に対処できるカウンセラーがいない?

――昨今のハラスメント事情を伺った前編に引き続き、後編ではハラスメント被害者のケアについて、より詳しく伺っていきたいです。

今野:よろしくお願いします。

――そもそもの話なのですが、本連載を構想するうえで最大の課題となったのが「ハラスメント被害者のケアが自助に任されている節があり、社会の課題だという認識が共有されていない」ということでした。

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