中国「自動運転タクシー」の商用運行に正式許可 小馬智行、5月から広州市南沙区でサービス開始

✎ 1〜 ✎ 897 ✎ 898 ✎ 899 ✎ 最新
拡大
縮小
小馬智行は自動運転タクシーの商用運行を中国各地の都市に広げる計画だ。写真は広州市内を走行する同社の自動運転タクシー(小馬智行のウェブサイトより)

自動運転技術の開発を手がける中国のスタートアップ企業、小馬智行(ポニー・エーアイ)は4月24日、広東省広州市南沙区でのタクシー事業の営業許可を取得したと発表した。このことは、同社が自動運転タクシーの商用サービスを本格展開できるようになったことを意味する。

中国で自動運転タクシーの商用運行が(テスト段階を終えて)正式に許可されたのは、これが初めてだ。小馬智行はまず100台の自動運転車両を投入し、5月から広さ800平方キロメートルのエリア内でサービスを始める計画だ。

なお、自動運転タクシーの運賃は広州市内の一般タクシーと同額を乗客から徴収する。また、自動運転車両の運転席には(非常時にシステムから運転を引き継ぐ)安全担当者の搭乗が義務づけられている。

小馬智行は自動運転タクシーの商用化への取り組みを2021年から加速してきた。同年11月には、北京市で一般市民が利用できる自動運転タクシーの商用運行試験の許可を取得。ただし、そのサービスエリアは北京市経済開発区内の広さ60平方キロメートルの範囲に限られていた。

全国レベルの法規整備には長い時間

今回の広州市での正式許可を皮切りに、小馬智行は2023年までに中国の4大都市(北京市、上海市、広州市、広東省深圳市)で自動運転タクシーの商用運行を始める計画だ。そして2025年にかけて、さらに多くの都市にサービスを広げていくという。

とはいえ、同社が計画をもくろみどおりに進められるかどうかは未知数だ。自動運転タクシーの運行試験は、一般的には(道路インフラなどの条件が整った)都市内の限られたエリアからスタートする。北京市、上海市、広州市、深圳市、湖北省武漢市などの大都市では、地元政府がそうしたエリアを指定し、企業から自動運転タクシーの商用運行試験の申請を受け付けている。

本記事は「財新」の提供記事です

「現段階では、自動運転タクシーの運行条件はエリアごとにばらばらだ。全国をカバーする統一法規の整備は非常に複雑な作業であり、長い時間がかかる。だがそれを待っていたら、技術やビジネスモデルの進歩が止まってしまう。一部のエリアで実績づくりを先行させ、ノウハウを積み上げていくことが肝要だ」。財新記者の取材に応じた自動運転業界の関係者は、そう強調した。

(財新記者:戚展寧)
※原文の配信は4月24日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT