日本で繰り返すドーナツ人気「3つの大きな節目」 日本のドーナツの歴史を変えたのはミスド

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ラシーヌのドーナツの製造・販売を行うグリップセカンドの金子信也社長は、「いろいろな年代の人が一緒に食べられる。そんなに高くないから、子どもが母の日に買うなどハードルも低い」とドーナツが支持される理由を分析する。「ケーキだと手土産としては重い印象を与えがちな場面でも、ドーナツなら気軽に持参し喜んでもらうことができる」。ラシーヌでは、ドーナツを4個以上買っていく人も多いのだという。

「安定需要を見込める」以外の理由

だが、同社がドーナツの販売を始めたのには、安定需要を見込めるということ以外の理由がある。

同社はイタリアンやビストロ、パン屋など、業態が異なる14の飲食店を展開。全国70カ所以上の農家・酪農家・漁港など産地と直接契約し、その日に集まった食材からそれぞれの店でメニューを決める。

全店で年間5億円分の食材を仕入れるが、ロス率はわずか1%しかない。食材を無駄にしない同社が、コロナ禍で窮地に陥る果物農家を救おう、と始めたのが果物を使うドーナツとジェラートの販売だった。

池袋駅から徒歩10分ほどのところにあるラシーヌの店舗(撮影:今井 康一)

金子社長は、「コロナの巣ごもり需要で、A品と呼ばれる規格どおりの果物は売れたのですが、加工用のB品、C品の価値が非常に下がって販路が少なくなった。僕たちは農家さんの課題を解決するために、“エクセプト・フォーA”、つまりA品以外を加工するプロジェクトを立ち上げたんです」と語る。

もともとフランス料理のラシーヌブランドでパン屋も経営し、製造技術を持っていたことに加え、海外滞在歴が豊富な金子社長自身が、日本ではドーナツがブームになるのに、アメリカなどのように国民食にならないのはなぜか疑問を抱いていたことも理由だ。

4年ほど前からニューヨークやボストンのドーナツ店へ視察に行くなどしていたこともある。

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