養老渓谷で里山の再生に取り組むヨガ講師の挑戦 手つかずの日本の原風景を生かして地域活性化

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養老渓谷駅前から「大福山・梅ヶ瀬ハイキングコース」(約12キロ・約4時間)を歩いてみて、里山のすばらしさを実感した。菜の花が咲く畑、鮮やかな色彩のキジが歩いている沼のほとり、ウシガエルの合唱、そして山腹に咲くヤマザクラ。人とすれ違うことのない道をのんびり歩きながら、のどかな風景に溶け込んでいく。

約12キロのハイキングコースにもなっている梅ヶ瀬渓谷(筆者撮影)

駅から歩いて1時間ちょっとの大福山周辺は自然環境保全地域になっている。スダジイをはじめとする常緑広葉樹林とコナラなどの落葉広葉樹林が交じる多彩な自然性の高い林が広がり、鳥、両生類、昆虫などの動物相も多様性に富んでいる。

澄み切った水が流れる梅ヶ瀬渓谷は紅葉の名所として知られる。高さ30~50メートルの梅ヶ瀬層と呼ばれる浸食崖が続く。渡渉を繰り返しながらの沢下り。小さな淵には3匹のウグイらしき魚が群れている。水面にヤマザクラの花びらが舞い散り、彩を添えている。山道から渓流沿いの道と歩き進むうちに、幼い日々を過ごしたふるさとの光景が蘇ってきた。東京から約70キロ、房総半島ど真ん中に、日本の原風景を見つけたような気がした。

NYのフェスティバルにも参加

掘さんの活動拠点であるカフェ兼情報発信スペースの「サトモノ屋」は、養老渓谷駅から歩いて1分の街道沿いにある。駅前といっても商店は数えるほどしかない。そのうちの一軒がサトモノ屋だ。

掘エミイさんの活動拠点であるサトモノ屋(筆者撮影)

通りを挟んだ酒店の倉庫を借りてカフェスペースと地元の産品を販売するスペースなどがあり、プレゼンなどの情報発信ができる大型プロジェクターも備わっている。テーブルはヒノキの丸太を使用したもので、ぬくもりを感じる。

「きのう徹夜だったので、お化粧もしないままですいません」と言ってあらわれた掘さんはモンペ姿である。見れば店内にもモンペが販売されている。

「モンペ、動きやすいし機能的で大好きなんです。ここら辺のおばあちゃんたちとも仲よくなれますしね。表参道に行くときも、この格好ですよ」と屈託がない。すっかり里山暮らしに溶け込んでいる感じだ。

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