暴力で騒然「秀岳館」に生徒送ったコーチの"痛恨" サッカー部の暴力の裏に私立高部活の構造問題

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サッカー部の暴行問題で記者会見し、謝罪する秀岳館高の段原一詞監督(左端)ら=5月5日午後、熊本県八代市(写真:時事通信)

「あの学校に送り出した責任を感じています」

30代男性コーチが3年生部員に暴行した動画がSNSで拡散されて以来、監督が虚偽の証言をするなどずさんな対応が続く熊本県八代市の私立秀岳館高校。渦中のサッカー部に複数の教え子を送り出した男性コーチ・A氏の声は沈んでいた。

「ある大会でスカウトされました。子どもたちは熊本に行って練習に参加し、秀岳館でやってみたい、全国大会を目指したいと言うので送り出したのですが……」

4月20日の問題発生から2週間経った5月5日。学校側は初めて記者会見を開き、生徒約1000人にアンケート調査をした結果、サッカー部の暴力行為38件が判明したと発表した。また段原一詞監督(49)が当初否定していた実名顔出しの部員11人による謝罪動画に関与していたことも判明。同監督による生徒への暴言と動画関与は、警察が取り調べ中だという。

事前の「覚悟」を超えた実態にコーチは…

GWのさなかの会見。生徒たちは地元に戻ってきていたが、Aコーチは会えていない。ただ直接相談を受けている同じチームに属する別のコーチによると、生徒たちは「先輩たちがひどすぎる」と話しているという。

「練習参加や見学ではいいところしか見せてもらえないので、彼らも本当のところはわからなかったでしょう。ただ、過去に他の強豪校に行ったOBから、高校サッカーはいろんなことがあると聞いている。(秀岳館に入った)選手たちもそれなりに覚悟していたと思う。ただ、ここまで(のひどさ)とは……」

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