写真で振り返る東海道新幹線「のぞみ」30年の記録 運行前の試乗列車からN700Sまで「取材秘話」

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富士山をバックに走る700系「のぞみ」(撮影:南正時)
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2022年3月14日、東海道・山陽新幹線のフラッグシップトレイン「のぞみ」は運転開始から30年を迎えた。

筆者が初めて「鉄道写真」を意識して撮ったのは18歳の時、1964年6月に米原付近を走る北陸線の車窓から開業4カ月前の東海道新幹線の試運転電車を撮影したときだった。子供の頃のキャッチフレーズ「夢の超特急」への憧れとともに、それ以来東海道新幹線には強い思い入れがある。そして、開業以来現在に至るまで撮影を続けてきた。

数多い東海道新幹線の取材経験の中で特筆されるのが、300系「のぞみ」の登場だった。今回は、「のぞみ」デビューから30年の軌跡を取材時のできごととともに語ってみたい。

列車名は「大和言葉」

「のぞみ」は、国鉄末期に登場した100系に代わる高速電車の開発によって誕生した次世代新幹線構想だった。

筆者が初めて撮影した「鉄道写真」、開業4カ月前の東海道新幹線試運転列車=1964年(撮影:南正時)

JR東海内に「新幹線速度向上プロジェクト委員会」が設置され、1990年に「J0編成」(のちにJ1編成)といわれる300系電車の量産先行車がデビューした。試運転当時は「スーパーひかり」と仮称されていた。

この300系による新列車名は、当初JR東海では「きぼう(希望)」に内定していたという。ところが列車名決定の委員を務めたエッセイストの阿川佐和子さんが決定当日の朝、父であり鉄道に造詣が深い作家阿川弘之さんから「これまで列車名は大和言葉で名づけられてきたいきさつがある。『希望』を大和言葉にすると『のぞみ』」とアドバイスを受けた。それを命名委員会で進言したことから「のぞみ」が採用されたといわれている。

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