近鉄、新たな観光列車で挑む「首都圏攻略」大作戦 京都―奈良―大阪間、知名度向上でJR西に対抗

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近鉄が京都―奈良―大阪を結んで運行する新たな観光特急「あをによし」(記者撮影)
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京都と奈良を結ぶ観光列車が登場した。

かつて日本の首都が置かれた京都と奈良は日本が誇る世界的な観光地。2つの古都を観光客が行き来する場合、鉄道を使うのが一般的だ。

乗車時間は30分から1時間程度にすぎず退屈することはないが、当地を頻繁に訪れる機会が少ない観光客であれば、移動時間も楽しみたいと考えても不思議はない。だとしたら、通勤などに使われる普通の車両ではなく、非日常感を満喫できる観光列車は確実にニーズがある。

京都と奈良の間はJR西日本と近畿日本鉄道の2社が鉄道を運行しているが、先に動いたのは近鉄だった。京都、近鉄奈良、そして大阪難波という3拠点を結ぶ観光特急「あをによし」が4月29日に運行開始する。

外観は「天平時代の高貴な色」

近鉄は2013年3月から伊勢志摩と大阪・名古屋を結ぶ観光特急「しまかぜ」、2016年9月から大阪阿部野橋と日本一との桜の名所として知られる奈良・吉野を結ぶ観光特急「青の交響曲(シンフォニー)」を運行している。あをによしは同社にとって3番目の観光特急だ。

あをによしとは奈良にかかる枕詞。平城京の華々しい様子を表す言葉として万葉集などで用いられている。「奈良を象徴する観光特急となることを願って命名した」と、同社鉄道本部営業企画部の小林昭夫課長が説明する。

4両編成の車両はかつて近鉄特急の主流だった12200系を改造した。今回使われた車両は1974年に製造されたもので、1975年にはエリザベス女王が乗車した特別列車として運行したこともある。

車両デザインは近鉄グループでホテルや商業施設などの内装を手がける近創が担当した。「奈良をイメージさせる高級感のあるデザイン」(小林課長)がコンセプト。外観は紫色で、天平時代に高貴な色とされていたことから決まった。

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