中国の新築マンション「販売不振」が長引く背景 不動産大手50社の1~3月期の販売額は47%減

✎ 1〜 ✎ 879 ✎ 880 ✎ 881 ✎ 最新
拡大
縮小
不動産大手の1~3月期の新築マンション販売額は目標値の6割前後にとどまった(写真はイメージ)

中国の新築マンション販売の低迷が長引いている。市場調査会社の克而瑞が発表したデータによれば、不動産業界の大手50社による2022年1~3月期の総販売額は約1兆6300億元(約31兆7237億円)と、前年同期比47.1%の大幅な落ち込みを記録した。

また、財新記者の調べによれば、上位10社の最大手のうち9社の販売額の減少率が30%を超えた。なかでも中国海外発展と万科企業の2社の落ち込みが目立ち、前者の減少率は前年同期比45.5%、後者は同40.0%だった。

「自分の担当案件では1~3月期の販売目標は2億5000万元(約49億円)だったが、実際に売れたのは1億5000万元(約29億円)程度だった」。ある国有大手不動産会社のセールス担当者はそう打ち明ける。

これ以外にも、財新記者の取材に応じた複数のセールス担当者が、1~3月期の販売目標に対する達成率が60%前後にとどまったと証言した。

消費者に広がる先行き悲観

例年なら、3月から4月にかけては不動産業界で「春の訪れ」と呼ばれる繁忙期だ。しかし2022年は新型コロナウイルスの局地的流行が中国各地で相次ぎ、新築マンションのショールームの集客が大きな影響を受けている。

例えば3月14日から7日間のロックダウン(都市封鎖)が実施された広東省深圳市では、新築マンションの現地ショールームが一時閉鎖されただけでなく、建物の建設工事もすべて中断された。

とはいえ、マンション販売の低迷は新型コロナのせいだけではなさそうだ。「より根本的な理由は、将来に対する消費者の心理が変化したことだ。住宅購入希望者の間で、景気の行方や今後の収入、仕事の先行きなどを悲観する声が増えている」。ある国有中堅不動産会社のセールス担当者はそう話す。

本記事は「財新」の提供記事です

財新記者の取材に応じた住宅購入希望者の1人は、自身の心境の変化を次のように語った。

「以前は(不動産会社が建設した)分譲マンションを買いたかったが、最近、景気が明らかに悪化してきたと感じる。今後も安定して得られる収入や月々の支払い能力を考えて、やはり(中低所得者向けの)公共住宅に申し込むつもりだ」

(財新記者:陳博)
※原文の配信は4月8日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT