今「PHEVを買っている人」はどんな人なのか? 購入者データから見えた「PHEV市場」の現在地

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左上:三菱「アウトランダーPHEV」、右上:BMW「5シリーズ」、左下:メルセデス・ベンツ「Aクラス」、右下:トヨタ「RAV4 PHV」(写真:三菱自動車、BMW Japan、メルセデス・ベンツ日本、トヨタ自動車)

電動化やカーボン・ニュートラルといった話題について、クルマにあまり詳しくない人と話す機会があった。その人からすると、「電動化=BEV(電気自動車)ばかりが走る未来」を自然に想像するらしい。

たしかに、ボルボは2030年までにBEVだけのブランドになると発表しており、メルセデス・ベンツも2030年までに新車販売をBEVのみにすると宣言している。同様にホンダは、世界で販売する新車を2040年までにBEVかFCEV(燃料電池車)のみにする目標を掲げている。

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もちろん、これらの宣言はカーボン・ニュートラルをはじめとする、地球環境保全を意識したものである。ただ、実際のところはEUやアメリカ、中国を中心に、頻繁に上書きされるルールへの適応から生じている変化でもあり、その背景には各国の産業や雇用を守るための生存戦略が見え隠れしている。

今回は、そんなBEVに注目……ではなく、ガソリン車から一足飛びにはなかなかBEVは購入しづらい、そんなユーザーニーズを取り込めているPHEV(プラグインハイブリッド車)にスポットライトをあてる。

PHEVとは、一般的なHEV(ハイブリッド車)よりも大容量のバッテリーを持ち、コンセントから直接バッテリーに充電できるハイブリッド車だ。

自宅での普通充電と出先での急速充電を組み合わせて使うのが一般的(写真:トヨタ自動車)

バッテリーで走行可能な範囲内であれば、電気自動車としての使用が可能となる。BEV同様、航続距離(1充電走行可能距離)は搭載バッテリーの容量に依存する。

今回は、PHEVについて購入時の状況、購入時に手放した車種(前有車)、購入車のイメージ等から分析を行った。データは、市場調査会社のインテージが毎月約70万人から回答を集める、自動車に関する調査「Car-kit®」を使用する。

<分析対象数>
PHEV 新車購入者:2,069名

トヨタと三菱でシェア約85%

まだまだ身近とはいえないPHEVだが、日本ですでに30以上のモデルが販売されている。マーケットシェアはトヨタ「プリウスPHV」、三菱「アウトランダーPHEV」の2車種で全体の7割を超える。

そこにトヨタ「RAV4 PHV」、三菱「エクリプス クロスPHEV」を合わせると約85%となり、残りはBMW、アウディ、ボルボ、ポルシェ、レクサス、メルセデス・ベンツなどである。詳しくマーケットシェアを見てみよう。

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