「小学生スポーツ」の全国大会に見直しが必要な訳 本当に子供のため?大人の自己満足のため?

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小学生スポーツの全国大会にも見直しが必要な理由をまとめました。写真はイメージ(筆者撮影)

3月18日、公益財団法人全日本柔道連盟(全柔連)は、同連盟が主催する「全国小学生学年別柔道大会」を本年から廃止すると発表した。これはスポーツ界に驚きをもって受け止められた。

全柔連の発表によると、「小学生の大会においても行き過ぎた勝利至上主義が散見されるところであります。心身の発達途上にあり、事理弁別の能力が十分でない小学生が勝利至上主義に陥ることは、好ましくないものと考えます」とのことだ。

伝統を重んじ、良くも悪くも「日本スポーツの王道」を行くとされる柔道界が率先してこのような発表をしたのはまさに「英断」と言えよう。

欧米では小学生スポーツの全国大会は基本的に廃止

すでに欧米のスポーツ界では小学生世代の「全国大会」を廃止する方向に動いている。

アメリカは、2009年7月に小学生以下の全国大会・ブロック大会を全面禁止し、それぞれの地域に合ったローカルルールを推奨し、競争を重視した競技会を撤廃している。アメリカでは高校レベルでも多くのスポーツで州大会が最高のレベルであり、全国大会はない。また、イギリスでも全国規模の学校単位のスポーツ競技会はほとんど行われていない。

しかし日本では、今も小学生対象の全国スポーツ大会が盛んに行われている。

軟式野球では、全日本軟式野球連盟が主催する「高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント」のほか、全国スポーツ少年団主催の「スポーツ少年団軟式野球交流大会」などがある。硬式野球ではボーイズリーグ、リトルリーグ、ヤングリーグ、ポニーリーグと各団体が全国大会を実施。またNPB主催の「12球団ジュニアトーナメント」も行われている。

ソフトボールは「全日本小学生男子大会」「女子大会」、サッカーは「JFA 全日本U-12サッカー選手権大会」、バレーボールは「全日本バレーボール小学生大会」、バスケットボールは「全国ミニバスケットボール大会」、相撲は「わんぱく相撲全国大会」、陸上は「全国小学生陸上競技交流大会」。

それ以外にも文部科学省が承認した小学校スポーツ大会は、サマーノルディックスキー、グラススキー、バドミントン(2大会)、ソフトテニス、硬式テニス、ゴルフ、綱引き、スポーツクライミング、馬術、アイスホッケー、マウンテンバイク、水泳、スポーツチャンバラ、トランポリン、エアロビック、自転車競技、ハンドボール、フェンシング、剣道、セーリング、グラウンド・ゴルフ、アーチェリーと23大会にのぼる。

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