「アメリカの株価下落は長引かない」と言えるワケ 株価は決して金利だけで決まるものではない

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不安定なアメリカの株式市場。筆者は「下落は長く続かない」と見ているが、その根拠は?(写真:ブルームバーグ)

結論から言うと、筆者の主要国の株価(主に日米などを想定)についての大枠の見解は、まったく変わっていない。骨子は、前回コラム「『日本株は大幅な円安だから上昇継続』でいいのか」で述べたとおりだ。

すなわち、(1)日経平均株価は3月9日の2万4717円、ニューヨーク(NY)ダウはその前日の8日の3万2632ドルが最安値だったと判断(いずれも終値ベース)、(2)今回の底入れ後、株価は長期上昇トレンドに戻る
というものだ。

「金利上昇騒ぎ」に巻き込まれた

ただ、先週(4月4~8日)はアメリカで金利上昇懸念が台頭し、長期金利が上がったため、同国のナスダック総合指数に代表されるような成長株を中心に株価下押しが進んだ。少なくとも、相場解説ではそういうことになっているようだ。

そうしたアメリカでの株価下落を受けて、日本株も軟調に推移した。このため、長期的な株価上昇が見込めるのかどうか、不安に感じている投資家の方もおられるだろう。そこで、先週の株価調整の背景を探ってみよう。

株価下落を引き起こしたきっかけは、5日のラエル・ブレイナード連銀理事による、ミネアポリス地区連銀のイベントでの発言だとされている。同氏は、前回連銀が資産圧縮を進めた2017~2019年の時期と比べると、現在のほうが経済回復が力強く急速であると指摘し、そのため当時より「かなり急速な(資産)圧縮を想定している」と述べた。これが金融引き締めの加速懸念を膨らませて、株価が下がった、との解説だ。

実は同主旨の発言は、先んじて別の連銀高官からもなされていた。やはり、すでに前回のコラムでも触れていたが、少しだけ引用してみよう。

「3月18日にクリストファー・ウォラーFRB(連邦準備制度理事会)理事とジェームズ・ブラード・セントルイス連銀総裁、21日にはジェローム・パウエルFRB議長の発言が報じられたが、各人とも今後の利上げ幅の拡大を示唆する内容ではあったが、『利上げを加速してもアメリカ経済の回復基調は揺るがない』という主旨を述べた。このため株式市場は、かえって景気の先行きに自信を深めたようだ」

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