「ミニシアターブーム」当時と現代の決定的な差 3人の関係者が語る若者の小規模館離れの本質

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小田急線下北沢駅に直結、1月20日にオープンした映画館「K2」。1スクリーン71席(うち2席は車椅子受入可)のミニシアターとなる (写真:Incline)
かつて1980年代から2000年代にかけて、東京・渋谷を中心にミニシアターブームと呼ばれるムーブメントが起こった。当時はミニシアターと呼ばれる映画館が個性的な作品の数々を上映し、文化の発信基地として、多くの若者の絶大なる支持を集めた。
だが、シネコンの隆盛をはじめとしたさまざまな要因が重なり、ブームは下火に。かつてはミニシアターが1本の映画作品とじっくりと向き合い、育て、口コミで広げてロングランヒットを狙う、ということが許されたが、制作本数の増加やすぐに興行結果が求められる時代の流れもあり、近年はそれもままならなくなった。
そしてミニシアター来場者の年齢層が高くなる傾向があり、若年層ではミニシアターとシネコンの区別がつかない人が増えている。
2020年にはコロナ禍で苦境に立つミニシアターの緊急支援策としてクラウドファンディングの「ミニシアター・エイド基金」が行われると、そこで約3億3100万円を集めるなど、ミニシアターの存在意義があらためて見直されることになった。
だがあれから2年たった今も厳しい状況は続いている。そこで、劇場、宣伝、制作の3つの分野からミニシアターに携わる映画関係者を招き、「若者にミニシアター系の映画を観てもらうためには?」というテーマで鼎談(ていだん)を実施した。
参加したのは、「ミニシアター・エイド基金」の発起人の1人であり、下北沢のミニシアター「K2」を運営するInclineのメンバーでもあるMOTION GALLERYの大高健志代表。『鬼滅の刃』をはじめ、洋邦問わず数多くのヒット映画のデジタル宣伝などを手がけ、さらに映画学校のニューシネマワークショップ(NCW)の運営などを行う映画宣伝会社・フラッグの久保浩章社長。そして『12ヶ月のカイ』『マイライフ、ママライフ』といったミニシアター系の作品を手がける平成生まれの気鋭の映像作家、亀山睦実監督の3名だ。

映画を観る日は特別だった

――本日は「若者にミニシアター系の映画を観てもらうためには?」というテーマでお話ができたらと思っておりますが、その前に皆さんが若い頃に映画を好きになったきっかけを教えてください。

亀山:うちはそんなに映画に関してレベルの高い家庭ではなかったと思いますが、たまたま父親が映画好きで。普段は8時には寝なさいと言われていましたが、「金曜ロードショー」の日は夜遅くまで起きてていいというルールがあった。だから映画を観る日は特別という思いが昔からありました。

それと児童小説を読むのがものすごく好きだったということもあります。『ハリー・ポッター』や『ハウルの動く城』なんかも入り口は本からでした。その流れで、映画を観るようになった。自分の意志で最初に観た実写映画は『ハリー・ポッター』だったと思います。ちょうど主人公たちの年齢と自分の年齢が同じぐらいだったので、本当にホグワーツに行けると思っていたんです(笑)。

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