中国テンセント、2四半期連続「減益決算」の憂鬱 国内ゲームは頭打ち、ネット広告は2桁減

✎ 1〜 ✎ 855 ✎ 856 ✎ 857 ✎ 最新
拡大
縮小
テンセントは、オンラインゲームやネット広告などの主力事業の成長鈍化に直面している(写真は同社ウェブサイトより)

中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)の業績が下押し圧力にさらされている。同社は3月23日、2021年の10~12月期の四半期決算および2021年の通期決算を発表。10~12月期の売上高は1441億8800万元(約2兆7375億円)と前年同期比8%の増加にとどまり、2004年の上場以降で最低の伸び率を記録した。

一方、10~12月期の純利益は949億5800万元(約1兆8029億円)と、前年同期比60%増加した。しかし投資収益などの一時損益を除いた非IFRS(国際会計基準)ベースの調整後純利益は、同25%減の248億8000万元(約4724億円)だった。

調整後純利益の減少は、直前の2021年7~9月期から2四半期連続だ。オンラインゲーム、SNS(社交サイト)、ネット広告などの主力事業が成長鈍化に直面するなか、フィンテックや法人向けサービスなど新分野の成長だけでは収益力の低下を補えなかった。

経営環境の短期での改善見込めず

具体的には、2021年10~12月期のオンラインゲーム事業の売上高は428億元(約8126億円)。その7割を占める中国国内での売り上げは、前年同期比わずか1%の増加にとどまった。

SNS事業の売上高は291億元(約5525億円)と前年同期比4%増加したものの、直前の7~9月期の303億元(約5753億円)より4%減少した。その要因としては(SNS上でプレーされる)ゲームのアイテム販売の落ち込みが大きい。

状況が最も厳しいのはネット広告事業だ。10~12月期の売上高は215億元(約4082億円)と、前年同期比13%のマイナスを記録。教育、ゲーム、ネットサービスなどの業界からの広告出稿が(中国政府の規制強化の影響を受けて)大きく落ち込んだことが響いた。

本記事は「財新」の提供記事です

テンセントを取り巻く厳しい経営環境は、短期間で改善する見込みはほとんどない。

同社の劉熾平総裁(社長に相当)は決算説明会で、「ネット広告事業の売り上げ回復には時間がかかる。状況がいくぶん好転するのは2022年末だろう」との見方を示した。

(財新記者:杜知航)
※原文の配信は3月24日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT