一蘭490円カップ麺「価格拘束?」店頭価格の実態 定番品の値下げ動向、「天下一品カップ麺」との対比

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2021年夏に関東地方の某スーパーで売られていた「一蘭 とんこつ」カップ麺。税込494円で並べられていた(東洋経済オンライン編集部撮影)
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人気ラーメンチェーンの「一蘭」(福岡市)が商品化したカップ麺をめぐって驚きのニュースが駆け巡った。

昨年2月に初めて同社ブランドで発売したカップ麺「一蘭 とんこつ」(エースコックが製造)について小売店で価格が下落しないように圧力をかけた可能性があるという。

一蘭のカップ麺は税込490円(一蘭公式ホームページなどに表記)という一般的なカップ麺としては高めの価格設定だ。一蘭の店舗や公式通販のほかに一部コンビニや小売店で売られている。ただ、一般的にメーカー側は小売店に対して価格を強制することができない。市場での価格決定メカニズムに委ねることで国民の利益を最大化するためだ。メーカーが小売に強制力をもって介入すると消費者に不利益を与えるために、価格強制が禁止されている。

一蘭は3月30日、自社ホームページで公正取引委員会から任意の調査を受けていることを発表している。ただ、「一蘭 とんこつ」の価格については事件化しているわけではない。さらに圧力や強制力といっても大小さまざまなものがある。メーカーが小売店に自社商品を廉売してほしくないのは本音ともいえる。

そこで、ここではあくまでデータを見ていくことにしたい。

「一蘭 とんこつ」の売価実態は?

なお、メーカーが「強制力をもって価格に介入した」あるいは「価格を維持するように圧力をかけた」のと「価格が維持された」のはイコールではない。必ずしも成功するかどうかはわからないためだ。それはメーカーとの力関係や慣習によるだろう。また逆に価格が維持されているからといって、そこにメーカーからの強制や圧力を感じ取るのも早計だろう。小売店が目玉商品として値引きなく販売した可能性がある。

といった前提のうえで、ここで実際に「一蘭 とんこつ」は価格が変わっていないか事実を見ていきたい。6000万人規模の消費者購買情報を基にした、True Dataのデータベース「ドルフィンアイ」を使って全国のスーパーマーケットで販売された「一蘭 とんこつ」(カップ麺)の平均売価(月ごと)を調べた(価格は税抜表示)。

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