市場拡大が止まらない「代替肉」業界の百花繚乱 IT、大豆、食肉企業が大混戦。激動する業界地図

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まったく新しいお肉が、畜産物の食肉に取って代わるかもしれない(写真:Composter / PIXTA)

「タンパク質危機」という言葉をご存じだろうか。世界的な人口の増加や肉食化に伴い、タンパク質の供給が需要をまかなえなくなるという予測のことで、早ければ今後10年もしないうちに顕在化するとされている。牛などの家畜飼育は、飼料の育成も含めて土地や水が大量に必要で環境への負荷も大きい。こうした問題意識を背景に台頭しているのが代替食だ。欧米では肉を控える健康意識の高まりも後押しになっている。

代替食とはその名のとおり、肉などを代替する別の食品のこと。見た目や味を本物に近づけるべくさまざまな研究が国内外で行われており、多数のベンチャー企業が次々と登場してきている。肉の代替食が多いが、ツナやエビ、ウニ、卵、牛乳など実にさまざまな”そっくりさん”が登場。カフェ「ドトール」での大豆肉ハンバーガー、イトーヨーカ堂で販売されている代替肉など、私たちの生活の中にも少しずつ浸透してきており、実際に口にした方もいるのではないだろうか。

市場規模は2030年に8倍増の予測

累計200万部突破した業界研究本『会社四季報 業界地図』を完全デジタル化した新サービス「業界地図デジタル」では、代替食に関する業界地図を掲載、デジタル版オリジナル業界として同市場を分析している。

シード・プランニングによれば、代表的な代替食である世界の植物由来代替肉の市場規模は世界で2020年に110億ドル、2030年には886億ドルに広がると予想されている。

代替食の業界は大きく2つのカテゴリーにわかれる。1つ目は植物由来の原料から作られたもの。巷で目にする「プラントベース」とはこうした植物由来の製品を指す。そして2つ目は細胞培養によるものだ。

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