メリーズは初、花王「戦略値上げ」宣言の一部始終 オーケーの販売中止で脚光、10%値上げの帰趨

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花王が乳幼児用紙おむつ「メリーズ」の値上げに踏み切る。容量などを変えない純粋な値上げは花王として初めての試み。その狙いをキーマンに語ってもらった。

原材料価格の高騰を受け、4月1日から乳幼児向けの紙おむつ「メリーズ」は120円値上げされる(撮影:尾形文繁)

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原材料高騰の影響がついに日用品にまで及び始めた。
日用品国内最大手の花王は3月4日、乳幼児用紙おむつの「メリーズ」を4月1日から10%程度値上げすると発表した。メリーズの通常価格(ドラッグストアなどで一般的に販売されている価格)は1280円なので、120円程度の値上げとなる。
花王はメリーズ以外の商品でも戦略的値上げを進めている。こうした中で1月末にはオーケーが花王製品の取り扱いを中止し、SNS上などで話題となった。花王の狙いは何なのか。販売部門を統括する竹内俊昭専務に話を聞いた。

以前は値上げに反対だった

――紙おむつのメリーズを値上げすると発表しました。

ドラッグストアなどへ卸す際の「出荷価格」を10%程度値上げする。パルプや原油を使っているメリーズが、当社商品の中でもいちばん原材料価格高騰の影響を受けている。

2021年12月期の業績は前期比で320億円の減益となったが、そのうち160億円が原材料価格高騰の影響によるものだった。このインパクトはやはり大きい。販促物や物流の効率化などのコスト削減活動を行ったが、原材料価格の高騰を補えなかった。

――長谷部佳宏社長は2021年12月の東洋経済の取材に「値上げはできない」と語っていました。

値上げに関する議論はもともとしており、今年1月に決まった。以前は私も値上げに反対をしていた。

メリーズのように容量などを従来と変えずに行う値上げは、これまで当社では行った例がない。値上げを決める前は社内のコスト削減などで吸収しようとしていた。だが、原材料価格の高騰が続き、顧客に一部を負担してもらおうとなった。

赤字になったわけではないが、2021年12月期の当社の業績はよくなかった。これを2年続けるわけにはいかない。

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