「2030年冬季五輪招致」に前のめり札幌市の危機感 市の調査では「賛成」が過半数を占めたが…

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札幌市の2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致活動が動き出すなか、北海道民や札幌市民の間で賛否の声が渦巻いています。写真は大倉山ジャンプ競技場(写真:はっさく/PIXTA)
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東京オリンピック・パラリンピックが閉幕して約半年。次の日本での開催に向けて招致活動も徐々に動き出している。札幌市が狙うのは2030年冬季オリンピック・パラリンピックだ。実現すれば58年ぶりの札幌開催となる。だが、北海道民や札幌市民の間では賛否が渦巻いている。

札幌五輪「賛成」派が過半数

3月16日札幌市は、市民・道民対象の「2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る意向調査」で、「賛成」派が過半数に達したと発表した。

結果が公表される前日の15日、札幌市の秋元克広市長は東京・永田町にいた。自民党の北海道選出国会議員らでつくる2030年札幌冬季五輪・パラリンピック招致推進本部の会合に出席し、「官民を挙げて取り組みを進め、地域づくりに貢献したい。北海道のみならずビジネスチャンスにつながる。ぜひとも力をいただき、大会を実現したい」と協力を呼びかけていた。

この会合では、もう1人、キーパーソンの政治家が発言した。北海道出身で、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長を務めた橋本聖子氏だ。橋本氏は「札幌、北海道が描く50年後、100年後のビジョンに付加価値を付ける意味で非常に重要。東京大会で得た経験を引き継ぐ」と語ったと報じられている。

3月18日に橋本氏や山下泰裕JOC会長らと官邸で面会した岸田文雄首相も、五輪招致について「国としても全面的に協力する」と前向きの姿勢だ。

一気に五輪招致の既成事実化が進みそうな状況だが、その背景を探った。

まずは1万7500人を対象に行われた意向調査の速報結果を吟味してみよう。調査は郵送(札幌市民5775人)、インターネット(市民・道民5540人)、街頭(映画館に来場した市民を含む道民2560人)の3つの手法で行われた。公開された結果を市民、道民別に示してみた。

■札幌市民(総計9396人)
○郵送調査
賛成派52%(賛成26%+どちらかといえば賛成26%)
反対派39%(反対22%+どちらかといえば反対17%)
わからない9%
○ネット調査
賛成派52%(賛成22%+どちらかといえば賛成30%)
反対派31%(反対17%+どちらかといえば反対14%)  
わからない16% 
○街頭調査
賛成派57%(賛成35%+どちらかといえば賛成22%)
反対派35%(反対19%+どちらかといえば反対16%)
わからない8% 
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