品川駅西口「京急の顔」再開発で何が変わるのか 高さ155m、新「フラッグシップビル」の勝算は?

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品川駅西口のシナガワグース(旧ホテルパシフィック東京)は解体工事が進行中(記者撮影)
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東海道五十三次の第一の宿である品川宿。その名を冠した品川駅は150年前の1872年、日本の鉄道開業の年に誕生した。駅は宿場町より北に位置するものの、首都圏の通勤通学を支えるJRの各在来線や京浜急行電鉄のほか、東海道新幹線が乗り入れ、今も昔も交通の要衝であることに変わりない。

現在でも京急に乗れば、国内外の主要都市とつながる羽田空港までわずか十数分の好立地。将来、品川駅を起点とするリニア中央新幹線の開業となれば、交通結節点としての役割がこれまで以上に大きくなることは間違いない。さらに、東京メトロ南北線の白金高輪駅と品川駅を結ぶ地下鉄延伸構想が動き出している。

新たな「京急の顔」を計画中

2021年春、大型ホテルが建ち並ぶ品川駅高輪口(西口)で京急グループが運営する「シナガワグース」が閉館した。半世紀前、同社が社運をかけて建設した「ホテルパシフィック東京」の建物を再活用、宿泊特化型のビジネスホテルなどに改装した複合施設だった。同年秋には解体開始を前に、正面に窓文字で巨大な「アリガトウ」のメッセージが掲げられた。

跡地に誕生する超高層ビルもまた新たな「京急の顔」となりそうだ。トヨタ自動車との共同事業で、オフィスや国際ブランドの高級ホテル、MICE、店舗が入る大規模複合施設とする計画。オフィスの一部はトヨタが首都圏での拠点として使用することが予想される。

シナガワグース跡地の「A地区」のイメージ(画像:京浜急行電鉄)

トヨタにとって、品川ほどメリットが大きい土地はないかもしれない。本拠地の愛知に通じる新幹線駅と将来のリニアのターミナルへは徒歩ですぐ。国際線の発着枠が大幅に増えた羽田空港へも、従来通り京急線で簡単にアクセスすることができる。

京急電鉄はグローバル企業のトヨタと組むことによる相乗効果に加え、鉄道事業の起爆剤としての役割にも期待を示す。同社品川開発推進室長の金子雄一常務執行役員は「京急沿線は住宅価格が比較的安く、古い商店街もあって住みやすい。オフィスで働く人たちに三浦半島のホテルでワーケーションをしてもらえるような施策が打ち出せれば、鉄道の活性化にも結び付く」と意気込む。

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