現実に絶望する人がメタバースに夢を託せる理由 生まれる条件次第で格差生む「親ガチャ」に抗える

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メタバースの存ビジネスにはないデジタル空間の有望なファクターとは?(写真:Angel Garcia/Bloomberg)
メタバースという言葉を知っていますか?
オンライン上のデジタル空間を指すメタバースは、1992年にSF作家ニール・スティーヴンスンが発表した『スノウ・クラッシュ』という小説に初めて登場しました。これが後に、数多くの起業家にインスピレーションを与え、2022年現在、インターネットに続く新たな経済圏として世界的なバズワードになっています。
そもそもどうして、フェイスブックから名前を変えた「メタ」を筆頭に、これほど多くの企業がメタバースに注力するのでしょうか? 既存のネットビジネスにはない、メタバースの有望なファクターは何なのか。『メタバース さよならアトムの時代』の著者、加藤直人氏は、その問いに対して2つの特徴を挙げます。2021年の流行語になった「親ガチャ」も密接に絡んできます。
前回:メタバースとFF14が「似て非なる」決定的な根拠(4月5日配信)

メタバースならではの有望なファクター

エピックゲームズとロブロックス。そして彼らを追うメタ。その他にもメタバースを実現し、ビジネスにしようと動いている企業はたくさんある。なぜさまざまな企業がメタバースの実現をめざすのかというと、メタバースにはこれまでのネットビジネスにはない有望な要素があるからだ。

そのいくつかの要素のうち、重要な2つの観点について紹介しよう。1つがメディアへの接触時間。もう1つがどうしようもない現実からの解放だ。

1.メディアへの接触時間

ネットビジネスはその大半が広告とEコマース(ネットショッピング等)だ。フェイスブックやグーグルは広告で、アマゾンはEコマース。他の企業でもこの2つのビジネス業態がほとんどを占めている。

このうち、広告ビジネスにおける大きい要素は何か。

そのサイトにどれくらい長く滞在してもらえるか、どれくらいの注意を引きつけられるか、どれくらい多くの広告枠を確保できるか――究極的にはこの3つでしかない。

フェイスブックはニュースフィードにおいて、ユーザーに画面をスクロールさせればさせるほど次々に広告枠を生み出すというマジックを発明した。

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