消えゆく205系と増殖する131系、決め手はコスト 運用費用面から見たJR東日本の車両開発戦略

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山手線で活躍した205系(写真:K3/PIXTA)

かつては首都圏の電車の顔として走り続けてきた直流通勤型電車205系。1985年の国鉄末期に登場し、JR化後も東日本と西日本で製造が続けられた名車である。山手線といえばこの205系を思い浮かべる人も少なくないだろう。

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205系の思想はE235系に継承

旧型車両を置き換える形で多くの線区に投入された205系は、省エネ時代の幕開けによって誕生した。従来の103系に比べてコストを削減することが検討され、車体を鋼鉄製よりも軽いステンレス製とし、消費電力を103系の66%に抑えることに成功した。

また電気指令式の電力回生ブレーキ(車輪の運動エネルギーを制御すると同時に、発電させる装置)が採用され、さらに電力消費を削減することを可能とし、当時としては画期的な電車であった。

この205系の登場により鉄道業界でも省エネによる環境への配慮が意識され、さらに技術を進化させてきた。そして、今日も活躍するE233系やE235系へと継承されている。

205系は1984年度に量産先行車(10両編成4本)が落成し、先行試作車として山手線に導入された。当時、黄緑色の103系が多く走る中、ギラギラとステンレスを輝かせて走る見慣れない205系の姿に「あれ?これ、乗っていいの?」「何線?」とホームにいる駅員に尋ねる利用者もいたそうだ。

その後量産車も登場し、山手線に続々と導入され、関西圏の京阪神緩行線にも青帯を巻く205系が登場した。さらにJR民営化後は横浜線、埼京線、南武線、京浜東北線、中央・総武緩行線、京葉線、武蔵野線、相模線と次々に導入されていった。

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