「世田谷の地価下落」が示す不動産三極化の現実 好立地マンションの価格上昇は止まらないが…

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首都圏1都3県の新築マンションの平均価格が過去最高を更新しました(写真:t.sakai/PIXTA)
首都圏1都3県の新築マンションの平均価格は6260万円で過去最高を更新、東京23区の新築マンションの平均価格は8293万円となりました(不動産経済研究所、2021年調査)。この先、いったい不動産価格はどうなっていくのでしょうか――。
不動産コンサルタントの長嶋修氏は「不動産市場は三極化が進行していく」と言います。その理由とは? 同氏の新著『バブル再び』から一部抜粋してお届けします。

三極化する不動産市場

都心をはじめとする好立地マンションの価格上昇は止まりません。その一方で都市郊外は駅前・駅近をのぞきダラダラ下落というように、不動産市場はものすごい三極化が進行しているのです。不動産市場の「三極化」が1990年バブル崩壊以降続いているわけです。不動産市場の三極化は次のような具合です。

1.価格維持あるいは上昇する地域(10~15%)
局地的なバブルとして先述した都心・駅前・駅近・大規模・タワーといったワードに代表されるような、価値が上昇し続けているエリア。
2.なだらかに下落を続ける地域(70%)
都心から30㎞~40㎞ほど離れているかつてのベッドタウン。これから人口が減少していき、徐々に価値が下がっていくエリアで、大多数の地域。
3.限りなく無価値あるいはマイナスの地域(10~15%)
かつてのベッドタウンで人気のエリアでも現在は人が減り、売れずに残るケースが増えている。ここに該当するエリアは、今後も下降をたどっていくと思われる地域。

コロナ以降もこの傾向はますます進み、この3つのエリア格差がさらに加速していくでしょう。

民主党から自民党に政権交代した2012年12月、期待感もあって株価や不動産価格は大きく盛り上がり、翌年の2013年4月以降、アベノミクス、黒田バズーカが打ち出され、大幅な上昇局面を迎えます。

民主党から自民党に政権交代した2012年12月の中古マンション成約平米単価を100とした場合のグラフです。ここまで都心3~5区あたりの成約平米単価は実に2倍近く、5000万円だったマンションが1億円になっているということです。東京平均では1.7倍程度。一方神奈川、埼玉、千葉では1.3~1.4倍程度にとどまっているのがわかるでしょう。

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