大ヒット商品の「第二弾」が振るわない納得の理由 統計学を駆使するだけでは需要は読み取れない

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ビジネスパーソンに不可欠な需要予測の基本を解説します(写真:tabiphoto/PIXTA)
コロナ禍とそれに伴う経済活動の制限により、「売れるはずの商品」が売れず、在庫を抱える企業は少なくないだろう。パンデミックや資源枯渇が懸念される中、モノやサービスを扱う企業には「需要を正確に予測するスキル」が求められる。では、どのようにスキルを伸ばせばいいのか。そもそも、「需要を予測する」とは具体的に何なのか。本稿では、『すごい需要予測 不確実な時代にモノを売り切る13の手法』を上梓した山口雄大氏が、ビジネスパーソンに不可欠な需要予測の基本を解説する。

鉄道のダイヤ組みにも使われる「需要予測」

みなさんは「需要予測」という言葉を耳にしたことがありますか? 文字から連想しやすい意味のとおり、「需要を予測すること」です。

では、「需要(Demand)」とは何でしょうか?

必要とされることです。これはモノだけでなく、サービスにも当てはまる概念ですし、人に対しても使われることがあります。

日本では海外と比べて食におけるお米の需要が多い、などと言いますし、TOEICは就活生の需要が高い、などとも言えます。製造業ではAIに詳しいマーケターの需要が増加している、といった具合に、人に対して使うこともできます。意外なところでは、鉄道会社が電車のダイヤを組む際や、政府の予算編成にも需要予測が必要になります。そのため、より正確には、需要とは必要とされる程度感や規模感といったイメージでとらえるといいでしょう。

こうした「需要」を予測できると、どんなメリットがあるのでしょうか。実はみなさんも毎日の生活の中で、ほとんど意識せずに需要を予測しています。トイレットペーパーや水、お酒といった生活必需品的な物は、今すぐ必要な量以上に、ご自宅にストックされていると思います。「いずれ使うから」と想定して購入しているはずです。

この「いずれ」は、10年や20年ではないでしょう。つまり、モノが腐ったり、長い間スペースを占拠し続けたりしないように考えながら、必要な量を想定して、買い物をしているのです。これはまさに需要予測です。

この身近な例からも想像できるように、需要予測によって、生活の快適さを向上させることができます。水を飲みたいと思うたびに外へ買いにいくのはめんどうですよね。急に必要になっても、ストックがあればすぐに飲んだり使ったりすることができます。お金やスペース、消費期限といったさまざまな制約を考えると、ちょうどいい量を用意しておく、というのが重要になることも想像しやすいと思います。これを可能にするのが需要予測なのです。

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