「ロシア軍事侵攻」過去例から見た株価のその後 過去のパターンから株価の動きを分析

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アメリカのホワイトハウス近くで、ロシアのウクライナ侵攻に抗議するデモ(写真:© 2022 Bloomberg Finance LP)

2月24日にロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始。26日には首都キエフの近郊にあたるウクライナ北部の一部を掌握して、ウクライナ軍との戦闘は首都キエフに及んでいます。とはいえ、ウクライナ軍の抵抗も強く、さらにアメリカのバイデン政権がウクライナに対し3億5000万ドル(約400億円)相当の武器支援の実施を発表するなど、今後も戦火の長期化、そして拡大の可能性も考えられます。

そこで今回は、過去にロシアが行った他国への軍事侵攻を取り上げて、その時に株価がどのように動いたかを調べて今後の株式相場の行方を予想してみました。

湾岸戦争時に株価はどう動いたのか

ところで、過去の国際戦争の場面を振り返ると“戦争が始まる前に悪材料は織り込まれて相場は調整、開戦後は反騰”となるパターンが少なくないようです。例えば、湾岸戦争。1990年8月2日のイラクによるクウェート侵攻をきっかけに、多国籍軍の1991年1月17日のイラク空爆により始まりました。

前年となる1990年11月29日に、国連が武力行使容認決議を可決して、開戦がいつになるのか見極める姿勢が強まった当時を振り返ると、開戦1カ月前の12月17日から開戦前日までの日経平均株価は6.8%下落しました。しかし開戦後を見ると株価は反騰しています。開戦前日から1カ月後の1991年2月18日まで日経平均株価は16.9%上昇しました。空爆開始で、イラク南部の軍事施設はほとんど破壊されて終結も近いと見られたことも背景にあります。

今回のロシア軍のウクライナに対する侵攻に話を戻しましょう。侵攻直前の営業日の2月22日まで2週間で4.1%下落した日経平均株価ですが、今後、湾岸戦争時と同様に反騰のパターンが想定されるのでしょうか。実は、それほど単純には考えられないようです。なぜなら、今回のロシアの軍事侵攻は、欧米諸国との対立の激化など湾岸戦争とは比べられないほど社会的、経済的に影響が大きいからです。

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