性的少数者は韓国社会で20年間どう戦ってきたか ネットの影響から韓国軍兵士をめぐる訴訟まで

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ソウルでは2000年に性的少数者の人権を尊重するための「プライドパレード」が始まった(写真:Penta Press/アフロ)
2016年に若い女性が見ず知らずの男に殺害された事件をきっかけに、大きなフェミニズムムーブメントが起きた韓国。日本でもその片鱗は、韓国の小説やドラマなどを通して垣間見ることはできるが、韓国における性的少数者の現状について知る機会はなかなかない。
日本でも近年になって「多様性」や「インクルージョン」が叫ばれるようなり、一部自治体が同性のパートナーシップ制度を認めるなど性的少数者を囲む環境は改善しつつあるが、まだ道半ば。では、お隣の韓国はどうなのか。特集「激震『韓国フェミニズム』知られざるその後」3日目1本目は、韓国性的少数者文化人権センター代表で、ソウルクィアカルチャー・フェィティバルの組織委員長も務めるHolicこと、ヤン・ソヌ氏が韓国における性的少数者の現在地についてレポートする。
【特集3日目のそのほかの記事】
第2回:保守化する「韓国の10代男子」に教師が語ること
第3回:韓国文学ブーム引っ張る「女性作家たち」の凄み

ネットで性的少数者コミュニティが成長

韓国のLGBTIQ+の現況について紹介してほしいとの依頼を受け、筆者はうれしくもあり、不安でもあるが、韓国の人権運動の流れと、最近の韓国の状況を伝えたいと思う。

韓国の性的少数者の人権運動の歴史は1990年代にまでさかのぼる。1993年に韓国最初の人権運動団体である「チョドン会」(草と緑は同じ色だ=類は友を呼ぶ、名は違うが結局同類だ、という意味の韓国語の発音を縮めた名称)が組織されたことで、性的少数者の人権運動が本格的に始まった。

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チョドン会はそれから間もなく、男性同性愛者の集まりである「チングサイ(韓国語で友人の関係といった意味)」、女性同性愛者の集まりである「キリッキリ(韓国語で似たもの同士といった意味)」に分離し、この2つの団体は今でも韓国で最も長い歴史を持つ人権運動団体として活発に活動している。

1995年からは、全国の主要大学に同性愛者の集まりが作られるようになった。韓国の性的少数者コミュニティが急激に成長するきっかけとなったのは、まさにブロードバンドのインターネットが普及したためだ。

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